日越文化交流の懸け橋に 横浜・保土ケ谷の「川島囃子」

 横浜市保土ケ谷区川島地区で江戸時代後期から伝承されている「川島囃子(はやし)」が13〜15日に、ベトナムで上演される。日越文化交流の一環で、首都・ハノイの劇場を中心に、伝統の囃子に乗せて勇壮な獅子舞などを披露する。ベトナム行きを前に、市無形民俗文化財の保護団体に認定されている「川島囃子保存会」のメンバーが結団式を開き、「川島囃子で笑顔を広げよう」と公演の成功を誓った。

 川島囃子は豊作祈願が起源。笛、太鼓、鉦(かね)で囃子を奏で、おかめやひょっとこ踊り、獅子舞などが共演するのが特色だ。

 渡越するのは保存会メンバー11人。4月末に保土ケ谷区内で開いた結団式で三村守会長(67)は「川島囃子の素晴らしさを広める貴重な機会。ベトナムの人たちにも体験してもらい、交流の懸け橋になろう」と呼び掛けた。

 現地ではハノイ市内のベトナム青年劇場のほか、在ベトナム日本大使館、国際交流基金ベトナム日本文化交流センターなどでの公演を予定している。海外公演は1999年のアイルランド以来、2回目となる。

 アイルランド公演にも参加した最年長の足立慶一さん(81)は「ベトナムの人たちにどういう踊りなのか理解してもらえるよう、解説に力を入れたい」。中学生時代から郷土の伝統芸能を教え込まれ、現在は中心メンバーに育った保田啓之さん(52)は「先人に恥じない演技ができるよう頑張る。親日的なベトナムの人たちに喜んでもらえれば」。

 「子どものころから笛が聞こえれば、勝手に体が動いた」という最年少の三村栄資さん(31)は「若輩だが、祖父や父から受け継いだ思いも込めて力いっぱいやる」と意気込んだ。

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