新見市西方の新見美術館で開催中の「人間国宝 伊勢崎淳 備前の世界」(同市、山陽新聞社など主催)は9日まで。会期終盤の4日も熱心なファンが足を運び、備前焼の人間国宝(重要無形文化財保持者)伊勢崎淳さん(87)=備前市=が手掛けた優品約50点を堪能していた。
2020年に伊勢崎さんから寄贈され、美術館初公開となる「黒茶碗(わん)」は、鉄分の多い土を表面に塗る技法を用いており重厚感がある。「俎板(まないた)皿」は、変化に富む牡丹餅(ぼたもち)と緋襷(ひだすき)が印象的な仕上がりとなっている。
窯にくべる松割木を表現した新作オブジェ「炎の記憶」などもあり、伝統の技と斬新な造形が入館者の目を引いていた。
来館者は「多彩な作風や試みの中に、備前焼の魅力が凝縮されていますね」と話していた。