<金口木舌>温かなスタートのかたち

 北部支社に異動となり、家族と離れて単身生活となった。家財道具を一通りそろえたところで、早くも「壁」にぶち当たった。南部の自治体よりも細分化されたごみの分別だ

▼名護市の冊子「ごみの分け方出し方」にある。食品トレーは流水で洗う、お菓子の袋やペットボトルのラベルも「容器包装プラスチック」として分別する…。まずはごみ分別に慣れることから新生活を始めよう

▼新年度を迎え、新たな分野に挑む人も多いだろう。脊髄性筋萎縮症のケアを受けながら、地元の名護市東江で「居宅・重度訪問介護たいたい」を開所した金城太亮さんだ

▼難病当事者や医療ケアが必要な人に特化した、北部では少ない形態の事業所だ。1日の開所式で「事務所を造るのに1年かかったが、いろいろな人に僕を見てほしい」と笑い、仲間が門出を祝った

▼特製のハーネスを作成してパラグライダーで空を飛ぶなど、金城さんはさまざまな挑戦をしてきた。その明るい人柄を多くの人が慕い、支え合う。名護の街で温かいスタートのかたちを見つけた。

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