自転車旅 「穴場」の茨城・鹿嶋市 支援に本腰 マップ作成、登録店制度

サイクリストでにぎわう鹿島神宮駅=鹿嶋市宮下

茨城県鹿嶋市が、サイクリストの認知度向上に取り組んでいる。県内では筑波山周辺や霞ケ浦1周が有名なコースで多くの利用者が訪れるが、同市は自転車を分解せずに持ち込めるサイクルトレインも発着する穴場的存在。市は近年、機運盛り上げのためサービス拡充に本腰を入れており、案内マップを作成したり、協力店に自転車を止められるラックを配置したりして、多くのサイクリストを呼び込みたい考えだ。

県は、2021年度に11万人(推計)の利用があった「つくば霞ケ浦りんりんロード」をはじめ、「奥久慈里山ヒルクライムルート」「大洗・ひたち海浜シーサイドルート」のモデルルートを設定。中でも、りんりんロードは20年にナショナルサイクルルートに選定され、年々数字を伸ばしている。

こうしたサイクリストを呼び込みたい鹿嶋市は昨年、地域おこし協力隊員の大沢智枝さん(45)を中心に、市内名所や北浦湖岸、水郷地域を巡る「鹿嶋サイクリングマップ」を作成。多くのサイクリストたちにオリジナルコースを楽しんでもらいながら、魅力発信に乗り出している。

サイクリストの「自転車が止められる場所が見つからない」などの声に応えるため、3月には「サイクルサポートステーション」制度も開始。飲食店やコンビニ店など計29店舗・施設で、サイクリストが自転車を掛けられる専用ラックや空気入れ、トイレを利用できるようにした。

登録した飲食店「手作り餃子の劉さん」の劉宜蓁代表(49)は「これまでも自転車で来る人はいた。リピーターになってもらうため、しっかりとおもてなしをしたい」と意気込む。

サイクリストの呼び水となっているのは、20年からJR鹿島神宮駅に乗り入れるサイクルトレイン「B.B.BASE」。自転車を車内のサイクルラックに固定できる仕組みで、今シーズン初めて同駅に到着した3月21日は多くのサイクリストでにぎわった。

千葉市の会社員女性(47)は「最寄りが(B.B.BASEの)停車駅で楽しそうだと思った。車内でマップを見たが、とても分かりやすくて参考になる。北浦のコースを走ってみたい」と笑顔を見せた。

大沢さんは「つくば霞ケ浦りんりんロードなどと比べると鹿嶋は認知度不足。アントラーズや鹿島神宮など魅力はたくさんあるので、もっと発信したい。電車やバスで行きにくい場所も、自転車を選択肢にしてもらえれば」と語った。

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