給食無償化 マイナ取得要件とせず 備前市転換「交付金充当にめど」

会見する吉村市長(中央)=5日午前、備前市役所

 マイナンバーカード取得を条件に学校園の給食費や保育料を無償化する備前市の独自施策について市は5日、マイナカード取得を条件から外すと明らかにした。事実上の方針転換となるが、市は財源に国の臨時交付金を充てられるめどが立ったためとしている。

 市によると、カード取得を条件としていたのは給食費や保育料、学用品費、市営バス運賃、デマンド(予約型乗り合い)タクシー料金、住宅新築費など約20。財源に国の臨時交付金約1億2千万円を充当し、一般財源と基金からも捻出する。変更した方針は、市の広報や各学校長への伝達を通じて周知する。

 吉村武司市長は5日の会見で「国から3月29日付で交付金配分の通知があった。給食費などの無償化事業はカード取得を要件としないよう制度を変更する」と述べ、「カードはデジタル社会に必須という考えは変わらない。引き続き市民に取得をお願いしていく」とした。

 任意とされるカードのひも付けに反対する署名活動をしてきた市民団体の松下香さんは「ひとまずカード取得の条件が外れたのは良かった。ただ、市の方針でカードを取らざるを得なかった人の気持ちを思うといたたまれない」と話した。

 市は子育て支援の一環として2022年度、国の交付金を財源に、法律に保護者負担と記されている給食費のほか保育料、学用品費を一律免除。これらの納付をカード取得者に限り無償化する条例案を2月定例市議会に提案し3月23日、8対7の賛成多数で可決された。

 取得を条件とする無償化を巡っては、岡山弁護士会が可決前の同月中旬、再考を求める会長声明を出すなど波紋が広がった。

 備前市のカード交付率(2月末現在)は78.2%で、岡山県内27市町村の中でトップという。

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