IHI、電気航空機用の大出力電動モータを試作

今回開発した電動モータは、航空機エンジンと連携した電動ハイブリッド推進システムとして開発に取り組んでいるもの。

出力250kW級は、乗用車用の排気量3リッターターボエンジンに匹敵する大出力モータ。永久磁石と鉄心で構成される心臓部を容積約3リッターに収めたコンパクトな設計で、航空機エンジンに搭載するために重要な軽量化も実現した。

航空機推進系電動モータ(イメージ)©秋田県立大学

IHIは、本モータを1MW以上まで増強することで、200人乗りの中型旅客機に電動ハイブリッド推進システムとして搭載されることを想定している。

今回の開発は、秋田県立大学と秋田大学が共同で運営する電動化システム共同研究センターと、IHIおよび秋田県内の地域企業等が連携して取り組んでいるものである。永久磁石を高密度磁石配列に基づき配置することで磁石の利用効率を最大化し、大出力(高効率)化、小型化、軽量化に成功した。

本開発においてIHIは、試作機の構造設計における共同検討と、固定子(ステータ:モータ部品の回転しない部分)の製造上の課題解決に取り組んだ。小型・軽量で大出力化を実現するためには、回転子(ロータ)は高密度磁石配列にする必要があるため個々の磁石の反発する力が強く、また、ステータは数多くのスロット(溝)に大出力コイルを高密度に配置する必要がある。それぞれ従来工法では工業化が難しいとされていたが、コイルやコア(鉄心)の製造工法における開発を進め、これらの課題を克服した。

IHIは、2030年代に航空機の電動化を実用化することを目指し、航空機システム全体の電動化・最適化にも取り組んでいくという。

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