【統一地方選挙2023】政党政策アンケート:日本共産党

選挙ドットコムでは、2023年4月9日・23日投票の第20回統一地方選挙を前に、国政政党への政策アンケートを行いました。
国政政党にとって、全国の地方議員の数は党勢に影響を及ぼす重要な指標であり、国政選挙と同じように重視し多数の候補者を擁立します。

アンケートは20の設問で構成され、各党はそれぞれに「賛成」「やや賛成」「中立」「やや反対」「反対」から選択し回答、さらに各設問に対する党の考えや立場について説明していただきました。
本記事では日本共産党のアンケート回答を掲載します。

原子力発電所の再稼働を進めるべきですか? 

反対

世界有数の地震国・津波国の日本で原発を稼働させることは、福島第一原発事故のように、放射能による環境汚染の大きなリスクがあり、反対です。再稼働のための規制基準は、ヨーロッパで求められるコアキャッチャーが含まれないなど、「世界一厳しい」という政府の主張は事実に反します。原発が稼働して半世紀になりますが、処分方法が見つからないままたまるばかりの「核のゴミ」を増やしては、将来世代の大きな負担になります。

知事や市長などの「多選」を禁止すべきですか? 

中立

多選を一律に制度として禁止することは適切ではなく、憲法上の疑義も指摘されています。多選の評価は、各首長の実績や政策によって考えるべきことであり、基本的に各自治体の有権者の判断にゆだねられるべきものだと考えます。

同性婚を法律で認めるべきですか? 

賛成

日本共産党は野党3党で、2019年6月に婚姻平等法案(同性婚を認めるための法整備)を国会に提出しました。早急に実現させたい課題です。

小中学校の給食費を無償化すべきですか?

賛成

憲法26条「義務教育無償の原則」に基づき、そもそも国が財源に責任をもって実施すべきです。年間4400億円あれば、小中学校の学校給食の無償化は可能です。日本共産党は、吉良よしこ参院議員が国会質問(2018年)で、自治体による給食費の全額補助は「否定されない」との答弁を文科省から引き出し、これを力に地方議員が論戦、住民運動をともに進めることで、いま無償化する自治体が広がっています。

高校生までの医療費を無償化すべきですか? 

賛成

子どもの医療費助成を求める請願署名は、長年にわたって国会と地方議会に提出されてきました。日本共産党は請願を議会の意思として採択することを繰り返し求め、各自治体の助成制度を実現してきました。国の制度として18歳までの医療費窓口無料制度の実現をめざします。子どもの医療費を助成する自治体に、国負担分を削減するペナルティをやめさせ、自治体の取り組みを全面的に応援します。

マイナンバーカードと健康保険証を一本化すべきですか? 

反対

マイナンバーカードを持つかどうかは、個人の判断に委ねられなければなりません。個人情報の漏洩、どのように利用されるかわからないという不安、必要性がないなどが、普及が進まない理由なのに、健康保険証との一体化で事実上カード取得を強制することは許されません。個人情報が一部の企業の儲けのために利用される危険も強まっています。個人情報保護と行政の透明性が、真のデジタル化の第一歩です。

現行のふるさと納税制度を維持すべきですか? 

やや反対

「ふるさと納税」は、郷里への応援、被災地支援など、それ自体としては積極的な意味を持っていますが、高額所得者に有利な仕組みであり、高価な「返礼品」を用意した自治体に寄付が集中する、寄付額の相当部分が「返礼品」の費用で消えてしまうなどの弊害も目立っています。本来の趣旨を生かせるよう、自治体の「返礼品」競争の過熱防止や、富裕層優遇とならないような仕組みに改革することが必要です。

憲法9条に自衛隊の存在を明記すべきですか? 

反対

日本共産党は憲法9条改定に断固反対です。自民党案は、9条2項の後に、「前条の規定は、自衛の措置をとることを妨げるものではない」として、自衛隊を明記するものですが、この「自衛の措置」には、集団的自衛権も含まれます。まさに、9条2項を死文化し、海外での武力行使を無制限で行えるようにするもので許されません。改憲はきっぱり断念し、9条を生かした平和外交をすすめることこそが必要です。

ガソリン税を一時的に引き下げるべきですか?

やや賛成

燃料への課税は今後、燃料課税の全体をCO₂排出量と関連付けて見直すべきと考えますが、原油・ガスの国際価格急騰などの際には、省エネや化石燃料の使用抑制に働いていていることを考慮し、柔軟に対応すべきです。ただ燃料の高騰から、値上がりが物価全体に波及していることを考えれば、一番有効なのは、消費税を減税して、自公政権による2度の増税前の5%に戻すことです。

赤字の地方鉄道・バス路線を廃止すべきですか? 

反対

国民の移動の権利、地方活性化、CO2削減など、鉄道網の役割を評価し、国の責任で地方路線を維持・活性化すべきです。政府・国交省が進める大規模な地方路線廃止に反対です。JRを完全民営から”国有民営”に改革し、国が線路・駅などの鉄道インフラを保有・管理し、運行はJRが行う上下分離方式への転換をめざします。バスや地方民鉄も含め全国公共交通網を維持・活性化するために、「公共交通基金」を創設します。

地方議員の定数を削減すべきですか? 

反対

多様な意見を地方議会に反映するためにも、議員定数削減には反対です。「平成の大合併」をはじめとする自治体再編によって、すでに議員定数は大幅に削減され、住民の声が議会に反映されにくくなっています。地域の人口減少・過疎化の解決のためには、地方の基幹産業である農林水産業の振興や、観光産業・地域おこしなど地方自治体の活性化対策に取り組むことが求められます。

国土強靭化など大規模な公共事業を継続すべきですか? 

反対

大規模開発事業には巨額の予算を注ぎ込む一方で、防災・減災・老朽化対策の公共事業は大きく立ち遅れています。老朽化した橋・道路など生活インフラの改修、学校などの公共施設の耐震化、巨大地震・津波対策、土砂災害等危険区域の防災工事などの、公共事業へのニーズは強まる一方です。暮らしに密着し、地方再生に資する公共事業を進めます。過大な需要見通しやエネルギー浪費、環境破壊など問題のある案件は中止します。

公的年金の受給年齢をさらに引き上げるべきですか? 

反対

自民党政権がこの30年間に繰り返してきた、年金の受給開始年齢を遅らせる「改革」が、現役世代の「年金不信」を広げる一因となってきました。受給開始年齢のさらなる引き上げは、国民の老後の生活への打撃となり、将来不安をさらに広げるとともに、若年世代の制度不信を加速して、年金の保険料収納にも悪影響を与えるなど、公的年金の基盤を危うくするだけです。

インクルーシブ教育を推進すべきですか? 

賛成

通常学級、特別支援学校や支援学級など、障害のある子がどこで学んでいても権利が尊重され、成長発達を最大限保障される教育が求められます。多様な子どもたちが、安心して学べるインクルーシブ教育をすすめるためには、教育の予算を大幅に拡充し、通常学級を少人数化して先生を抜本的に増やし、支援員などのサポート体制の強化をすすめるべきです。

沖縄の米軍基地を県外に移設すべきですか? 

反対

日米両政府は、沖縄・普天間基地の「移設」を口実に、辺野古新基地建設を強行していますが、日本共産党は新基地建設の即時中止と、普天間基地の無条件撤去を求めています。「県外移設」では、日本国内のどこか他の場所にもっていくことになってしまいます。そのような立場はとりません。私たちは将来的には、安保条約の破棄によって、沖縄をはじめ全国の米軍基地をすべて撤去させることを目指しています。

地方自治体の行政サービスの民営化を進めるべきですか? 

反対

「官から民」のスローガンのもと、公立病院の独立行政法人化、公立保育所の民営化、公的施設の民間委託などが進んでいますが、これらは住民福祉や住民サービスの後退、また低賃金の非正規雇用の増大にもつながっています。誰もが欠くことのできない水、食や農漁業、住居、教育、医療、福祉、交通、エネルギーなど住民の生活基盤を支える社会資本・サービスの公共性を守り、地域住民による様々な参加とコントロールを推進します。

最低賃金を時給1500円まで引き上げるべきですか?

賛成

物価高騰のもと、「全国一律時給1,500円」が急がれます。日本共産党は労働者の70%が働く中小企業への直接助成、その財源として大企業の内部留保への適正な課税を提案しています。最賃引き上げは消費を増やし日本経済を活発にします。1,500円実現へ力をあわせましょう。

高齢者福祉よりも少子化対策に財源を優先して配分すべきですか? 

中立

日本の高齢者一人当たりの社会保障費は先進国のなかでも低水準であり、「高齢者に予算をかけすぎ」というのは偽りです。「下流老人」など高齢世代の貧困と、「介護離職」「ヤングケアラー」など現役世代の問題は表裏一体です。高齢者福祉と少子化対策を対立させ、足のひっぱりあいをさせる政治は、現役世代・若年世代をも苦しめます。大軍拡をやめ、富裕層・大企業の優遇税制を見直してこそ、子育て支援の予算が確保できます。

都市部への人口集中を是正すべきですか?

賛成

都市部は水や食料、電力の供給から廃棄物の処分まで、地方に依存しています。都市部へ人口集中が進めば、住居や住環境、教育環境の条件が厳しくなり、交通需要も集中するなど社会基盤の整備にコストが増大します。過疎化が進めば、安全な水や食料、環境汚染の防止、国土保全などにも支障が出てきます。持続可能な発展のためにも、自然エネルギーやデジタルなども生かし、良好な居住条件を整備し、国土の均衡ある発展を追求します。

感染症危機に備えて中小規模の医療機関の統合を進めるべきですか? 

やや反対

社会保障費削減のため、「公立病院改革」や「地域医療構想」の名で、強引に病床削減・病院統廃合を進めてきた政治が、医療体制を脆弱にした元凶です。次なる感染症危機に備えるには、医療従事者の増員、公的医療予算の増額、医療資源の抜本的拡充が必要です。地域の実情に応じた医療機能の集約化などには反対しませんが、既存の病院は「統合ありき」ではなく、予算投入による人員・体制の強化・拡充こそ求められます。

統一地方選挙2023 特設サイトはこちら>>
統一地方選挙2023 投票マッチングはこちら>>

© 選挙ドットコム株式会社