県議って何しているの? 投開票前に実像探る 栃木県議会の特徴も 【あなた発 とちぎ特命取材班】

福田知事の説明を聞く県議たち。議場では議案の討論や採決が行われる=3月、議会本会議場

 4年に1度の県議選が3月31日に告示され、栃木県内各地で選挙戦が展開されている。若年層を中心に投票率の低さが指摘される中、「あなた発 とちぎ特命取材班」(あなとち)では白鴎大の学生に地方議員に関する疑問を募集。「栃木県議会の特徴は」「そもそも県議の仕事が分からない」などの意見が寄せられた。選挙戦が終われば、有権者が議員の活動を見る機会はそれほど多くはない。本県の県議は日々、何をしているのか。9日の投開票を前に実像を探った。

 「今年も百点満点だ」。2月、自民党県議が満足げな表情で語ったのは、2023年度の県一般会計当初予算案編成への要望に対する県からの回答。

 予算を巡って県議は要望、提案を行う。各会派は現場や他県の調査などに取り組み、要望書をまとめる。県議会最大の自民会派の要望は例年、100%採用される。一方、少数会派ではこぼれるものも少なくない。野党県議の1人は「業界団体の要望が優先され、県政は県民の暮らしから離れてしまった」と不満を口にする。

 県議の定数は50。市長への転身などで6人が抜け、3月末時点で県議は44人(男性38人、女性6人)。最年少は40歳、最年長は82歳、平均年齢は約60歳。自民会派の議員は27人と過半数を占め、自民の「1強体制」が続いているのが本県議会の特徴だ。

 県議は主に、県の施策や税金の使われ方が適正かを県民の代表としてチェックする。「職場」は県庁西隣にある6階建ての議会棟。5階には議場があり、主に知事や県幹部からここで説明を受けて議論を進める。県議自ら政策条例を提案することも仕事の一つだ。

 登庁日数は役職にもよるが、年150日前後。他の日は主に地元で困りごとを聞いたり、行事に参加したりする。60代県議は「本当の職場は議場というより、地域そのもの」と話す。住民から「道路に街灯をつけて」「不法投棄を何とかして」といった注文も受ける。

 県議として得られる報酬は月額83万円で、ボーナスに当たる期末手当は約400万円。単純計算すると年収は約1800万円だ。公務が多い議長や副議長は増額される。ずいぶんと高給に思えるが、あるベテラン県議は「交際費としての支出も多く、高給とは言えない」とも。

 県議の役割を論じる際、たびたび「中二階」という言葉が使われる。国会議員と市町議の中間に立ち、顔が見えにくくなりがちになるためだ。ある中堅県議は「中二階だから投票率も低くなる。投票率を上げるには自分たちの活動をよく知ってもらう努力も必要だ」と自戒した。

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