「地域モビリティ」本格運行 高齢者らの移動支援 茨城・日立の金沢学区

本格運行を始めた「地域モビリティ」の出発式で記念撮影する地域住民や関係者=日立市大沼町

高齢化が進む地域内で住民の移動を支援しようと、茨城県日立市の金沢学区コミュニティ推進会は5日、自家用車に代わる新たな交通手段「地域モビリティ」の本格運行を始めた。2020年度から継続して実証実験を行っており、新たに電気軽自動車も導入して、学区内を予約制で運行する。地域独自の移動支援として定着させたい考えだ。

移動に支障がある人を支援したり、孤立しがちな人と地域とのつながりを強化したりするのが狙い。環境に配慮した車両の導入や運行のため、市から約300万円の補助を受けた。

電気自動車と金沢交流センターの軽自動車の計2台を使用する。利用者は前日までに予約し、自宅付近の停留所から乗車。平日に同学区内の施設間を運行し、スーパーや薬局など一部は近隣学区外も走る。事前に会員登録(月額1500円)した同学区居住者が対象。支援者となる賛助会員も募集している。

実証実験は20年度に国土交通省の「グリーンスローモビリティの活用に向けた実証調査支援事業」に選ばれ、金沢団地(同市金沢町)で約1カ月間、電動カートを運行した。21年度からは学区全域に範囲を広げ、約4カ月間、電動カートと軽自動車を運行。22年度は軽自動車を中心にほぼ通年で運行し、延べ約2200人が利用した。目的は交流センターや買い物、通院が各3割を占めている。

市によると、山側にある同学区内の台原団地と金沢団地で、住民の高齢化率が高まっている。この日の出発式で、小川春樹市長は「取り組みは市内団地の中でも先進事例になるのではないか」と期待を寄せた。同会の泉聡二会長(75)は「免許返納者や1人住まいを余儀なくされる世帯がますます増えていく。近距離移動の手段を確保することは生活に重要。この事業を育てていきたい」と話した。

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