車で行政手続き、眼検診 茨城・境町が専用車両導入 利便性向上へ

眼科スクリーニング検査用の車両で、眼画像を撮影する様子=境町

茨城県境町は車内で行政サービスが提供可能な次世代移動サービス「行政MaaS(マース)」と、眼科のスクリーニング検査が可能な「医療マース」の各1台を導入した。町民の利便性向上と町の業務効率化などが目的。行政マースではマイナンバーカードの申請、各種証明書の発行、医療マースでは白内障や翼状片など、進行すれば視力に影響の出る病気の早期発見につなげる。

専用車両はMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ、東京都千代田区)が開発。町は国のデジタル田園都市国家構想推進交付金の全額補助を受け、1台当たり約1350万円で導入した。

同町は昨年末からマイナンバーカード作成の出張サービスを行う専用車両として1台を試験的に導入。今年2月末時点の申請率は86.8%と県内2位で、専用車両が公民館など町内を巡回したことで、申請率が県内下位から飛躍的に上昇したため、本格的に導入することを決めた。マイナンバーカードの申請に加え、各種証明書の発行やオンライン相談にも対応する。

また、新たに導入した医療マースは、町内に眼科が2院と少ないことから、眼科で行う検査の一部を車両内で実施。看護師が受診者の前眼部などの画像撮影や屈折検査などを行い、遠隔診療サービスを活用し、眼科医がデータを確認して、異常が見つかった場合には受診を促す。

3月23日に役場で開かれた2台の披露式で橋本正裕町長は「境町に住んでいて良かったなと思える車両にしていきたい」とあいさつ。眼科スクリーニング検査を目的に運行する車両については今後、がん検診やオンライン診療などの実施も検討していく。

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