【大和市長選】告示直前、現職大木氏の出馬表明で混乱収まらず 市民有志による落選運動も検討

左から表明順に古谷田力氏、小田博士氏、大木哲氏

 任期満了に伴う大和市長選は16日の告示まで約1週間に迫る中、5選不出馬の意向を示していた大木哲市長(74)の突然の立候補表明で混乱が収まらない。対抗馬の新人2陣営は戦略の見直しを迫られ、市民有志による大木市長への落選運動も検討されている。市政関係者の間では新人候補の一本化に焦点が移るが、「選挙準備が本格化しているため実現は難しい」との見方が大勢を占める。

 「明日、記者室で話したいことがある」。3月29日、大木市長から大和記者会に会見の事前通告があった。内容を明らかにしなかったため、2月の不出馬表明を撤回するかもしれないとの臆測が広がり、関係者の間に緊張感が高まった。

 翌日、大木市長は5選に向けて無所属で出馬する意向を表明。「辞めないでほしいとの声が市民から次々に寄せられた」などとして市民からの慰留を優先させたと説明した。

 しかし表明以降、市民から上がる声は「パワハラ問題の批判をかわすための偽装工作」「2度びっくりした。市長はやはり信用できない」「権力亡者の見本」などと、大木市長が紹介した声とは正反対に引退を求めるものばかりだ。

◆戦略の練り直し

 この1週間、対抗馬の、いずれも市議で新人の古谷田力氏(54)と小田博士氏(48)=表明順=の両陣営は対応に追われた。現職が出ないという前提で戦略・戦術を練り、組織・支持固めに奔走してきたからだ。チラシなどの訴えも、大木市政を評価して健康都市政策の継承を訴え、世代交代を争点に据えていた。

 一方で、1年半に渡って市議会が追及した、前副市長の金子勝氏(66)が告発した大木市長による職員へのパワーハラスメント問題への言及は控えてきた。

 古谷田氏は「大木市長が出る以上、パワハラ問題で起きた職場環境の悪化や、トップダウンの市政運営を改めたい」。小田氏は「市長5期はやはり長すぎる。前回も指摘した多選の弊害がある」と訴える。

 ある陣営関係者は「選挙のセオリーによると、現職の批判票を取り込みたい新人が複数出ると分散してしまう。一本化が実現しなければ、現職に勝てないと皆分かっているはず。しかし、調整役を見いだして使える時間が足りない」と打ち明ける。

 両氏は無所属での出馬を予定しているが、小田氏は自民党の推薦を得ており、一本化調整がより困難視されている。

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