まるで宇宙にできた青い裂け目 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“きりん座”の渦巻銀河

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した渦巻銀河「UGC 2890」(Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick)】

こちらは「きりん座」の方向約3000万光年先にある渦巻銀河「UGC 2890」です。UGC 2890は地球に対してほぼ真横を向けた位置関係にある「エッジオン(edge-on)銀河」のひとつであるため、まるで漆黒の宇宙に生じた輝く裂け目のようにも見えます。

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UGC 2890では2009年3月にII型超新星「SN 2009bw」が見つかりました。超新星爆発は太陽の8倍以上の質量を持つ大質量星や、白色矮星を含む連星で起こるとされる激しい爆発現象です。II型超新星は大質量星が起こすタイプの超新星爆発で、進化した恒星内部の核融合反応で鉄のコア(核)が生成されるようになった頃、核融合のエネルギーで自重を支えることができなくなったコアが崩壊し、その反動によって恒星の外装が吹き飛ぶことで爆発に至ると考えられています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で2022年12月に取得したデータをもとに作成されました。欧州宇宙機関(ESA)によると、ハッブル宇宙望遠鏡によるUGC 2890の観測はII型超新星の余波を調査する研究の一環として行われました。

超新星が起こった場所の周辺に存在する星々の年齢や質量といった情報を得ることで、II型超新星を起こすような星についての知見や、超新星爆発から生き延びた星が明らかになると期待されています。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2023年4月3日付で公開されています。

Source

  • Image Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick
  • ESA/Hubble \- Aftermath of a cosmic explosion

文/sorae編集部

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