宇都宮短大付属高(栃木県宇都宮市)は本年度、インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用した生徒への学びのサポートに乗り出す。体調不良で対面授業に参加できない生徒に対し、メタバースで授業を行うほか、生徒の進路相談などの場としての活用も目指す。同校によると、学校でのメタバース活用は県内では珍しい。
同校は民間企業と連携して、メタバースに“教室”を開設した。今月、運用に向けた検証を始め、6月の利用開始を予定している。
同校によると、自律神経などによる体調不調で午前中の授業に参加できず、留年や転校を余儀なくされる生徒が例年、複数いる。同級生と一緒に進級や卒業ができるサポートの方法を考える中で、自宅や病院で授業を受けられる場としてメタバースの活用を決めた。参加するには医師の診断書が必要になる。
生徒はパソコンなどを使ってメタバースで自身の分身(アバター)を操作しながら、授業を受けたり進路相談したりできる。生徒自身がアバターを動かし、チャットを使って質問するなど、一般的なオンライン授業と比べ、より主体的に学べるという。
対面で話すことが苦手な生徒もいるため、将来的には利用対象者を広げる予定。萩原俊和(はぎわらとしかず)教頭(61)は「生徒のさまざまな悩みを相談できる空間もつくりたい。多様な選択肢の一つとして、生徒をサポートしていきたい」と話している。