サンゴ不許可「違反ない」 国是正指示 沖縄県、係争委申し出へ

 辺野古新基地建設に伴う埋め立て海域の大浦湾側のサンゴ移植を巡り、農林水産相が沖縄県に対し、沖縄防衛局が提出していた特別採捕許可申請を許可するよう「是正の指示」を出したことについて県は6日、是正の指示に従わず、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に申し出ることを農水省に連絡した。期限となる5月1日までに係争委へ申し出書を送付する。サンゴ移植を巡る是正の指示が係争委で争われるのは2度目となる。

 是正の指示に対する農相への回答文書では、サンゴの特別採捕を許可しない県の対応は「漁業法に違反するものではない」との考えを示した。

 県関係者は、サンゴ移植の前提となる大浦湾側の埋め立て工事で軟弱地盤の改良に伴う設計変更申請について、県が不承認とした処分を巡って3件の裁判が争われていることを指摘。是正の指示は、国土交通相が行った不承認処分の取り消し裁決や是正の指示が有効であることを「前提としている」と問題視した。移植したサンゴは死滅する確率が高いとし「万が一埋め立て工事をしないという状況になれば、工事はしないのに移植されて死滅するサンゴが出ることになる」として慎重に判断されるべきだとした。 (知念征尚)

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