宮古沖 陸自ヘリ墜落か 師団長ら10人不明 熊本・第8師団 宮古駐屯地隊員も 海上に複数の機材

 6日午後3時56分ごろ、宮古島市北方の洋上で、陸上自衛隊第8飛行隊(熊本県)所属のUH60JA多用途ヘリコプター1機の機影が、レーダーから消え、行方不明となった。陸自によると熊本県に拠点を置く第8師団の坂本雄一師団長(55)を含む隊員10人が搭乗していた。関係者によると、ヘリには宮古島駐屯地の隊員も搭乗していたという。同日午後11時現在、隊員は見つかっていない。陸上幕僚監部は発見された浮遊物の状況などから航空機事故と判断した。墜落した可能性がある。

 陸自によると、ヘリは空からの地形偵察を目的に、午後3時46分に航空自衛隊宮古島分屯基地を離陸した。午後5時5分に戻る予定だった。乗員の内訳は、操縦士2人、整備士2人と坂本師団長ら6人。事故原因は分かっていない。陸自は、災害派遣や急患搬送を除いて同型機の飛行を見合わせている。

 海上保安庁などによると、周辺の海域を捜索する中で「陸上自衛隊救命浮舟」と記された機材など複数の浮遊物や油を発見した。回転翼とみられる物も見つかっている。

 陸自によると、ヘリは有視界飛行をしていたため、悪天候ではないと認識している。

 坂本師団長は、防衛省統合幕僚監部や陸上自衛隊で、防衛政策の立案に携わる中枢を担うポストを歴任してきた。自衛官としての階級は、最も高い陸将。第8師団は熊本県内に拠点を置き、九州の防衛や警備を担当する部隊で、今年3月に師団トップに就任したばかりだった。

 陸自トップの森下泰臣陸幕長は6日夜に会見し「国民の皆さまにご迷惑をおかけして申し訳ない」と述べた。第8師団の師団長が宮古島にいた理由については「各部隊はわが国を防衛するためにあらゆるところを偵察し準備する。第8師団も宮古島周辺で偵察していた」と述べるにとどめた。師団長が搭乗していた理由については「自分の部隊を訓練するために指揮官が搭乗して航空偵察することはあること」と応えた。

 岸田文雄首相は官邸で「防衛省が確認中だ。人命救助最優先で取り組む」と述べた。

(明真南斗まとめ)

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