機能集積しコンパクトなまちへ 佐世保市の立地適正化計画案 人口減視野に拠点化

居住や都市機能を誘導するエリアを決め、生活利便性の維持を目指す=佐世保市内

 長崎県佐世保市は、将来的な人口減少を見据え、一定の範囲内に居住や都市機能を誘導して拠点再生の方向性を示す「立地適正化計画」案をまとめた。市中心部とその周辺に集積させるエリアを設定。斜面住宅地の再生やコンパクトなまちづくりにつなげる。
 2045年の市の人口は約20万人と推計され、20年比で約2割減。市中心部の人口減も進み、これまで一定の人口密度に支えられてきた医療や福祉、商業といった生活サービスが成り立たなくなるなど地域活力の低下が懸念される。
 計画の対象は都市計画区域で、将来の人口予測や公共交通の利便性などを踏まえ居住と都市機能を集積する区域を指定。区域内での社会福祉施設や子育て支援施設の立地などに対し、国の支援を受けやすくなる利点がある。
 計画案では、住み替えのタイミングで緩やかな居住を誘導する「居住誘導区域」の中に、病院や子育て施設など都市機能が集積しているエリアを「都市機能誘導区域」と設定。佐世保駅から市役所周辺を「都市核」、相浦、大野、日宇、早岐各地区を「地域核」として拠点化し、機能の維持、集約につなげる。
 市が新たに着手するのが空き家や空き地が増えている斜面住宅地の面的な再生だ。斜面地の中には、傾斜が緩やかで災害リスクが比較的低い場所も多く、居住地誘導区域に指定しているエリアもある。計画を策定することで活用できる制度も使って、斜面住宅の再編や空き家、空き地の利活用、空き家のリノベーションの促進を促す。
 計画案は、市都市計画審議会で承認された。近く公表し、計画期間はおおむね20年。

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