マリア観音か 奈良で発見 浦上四番崩れの流配地域 地元高校生ら研究 八つの可能性を紹介

展示されたマリア観音とみられる石像

 幕末から明治初期のキリシタン弾圧「浦上四番崩れ」で長崎市浦上地区のキリシタンが流された地域の一つ奈良県大和郡山市で、隠れキリシタンが拝んだとされる「マリア観音」の可能性がある石像が見つかった。長崎市平和町の浦上キリシタン資料館で像が展示され、特別展「流配先からの帰還!150周年特別記念展」が開かれている。
 石像は昨年11月、大和郡山市で空き家の改装作業中に見つかった。高さ11.5センチ。天井近くの空間で、火鉢のような器の中に保管されていた。子どもを抱いており、キリシタンがひそかに信仰してきた「マリア観音」と酷似している。
 かねて同市でキリシタンを研究してきた県立奈良高の仲野純章教諭にとって世紀の大発見。龍谷大の松浦哲郎特任講師や同高の生徒4人と研究チームを発足し、調査を進めてきた。

石像について調査結果を発表する石田さん(左)と岩田さん=長崎市、浦上キリシタン資料館

 石像を浦上地区でお披露目したいと特別展を企画。3月23日に同資料館で研究結果を披露した。同高2年の石田彩夕花さん(16)と岩田歩実さん(16)の2人が発表。伝承や絵図、現存する遺跡を調査し、石像が浦上もしくは郡山で作製や調達したとする計八つの可能性について紹介した。今後、石像の材質や資料の精査を続けていく。
 岩田さんは「石像が見つかった現場は自分の家から近いのに、隠れキリシタンの歴史が教科書に載っていないので調査するまで大和郡山市との関係を知らなかった」、石田さんは「断片的にしか知らなかったキリシタン弾圧を、さらに調査したい」と感想を話した。同展は6月30日まで。

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