ジョン・ラームは1W変更が奏功 出だしダボから首位発進

「マスターズ」初優勝を目指すジョン・ラーム(撮影/増田高寛)

ジョン・ラームの「マスターズ」における第1ラウンドの「65」は、1番ホールで4パットのダブルボギーを叩いてから盛り返すという内容だった。このダブルボギー以降、ラームはオーガスタナショナルで1イーグル、7バーディを奪って首位タイに立った。

この日は、ボールストライキングもまた特筆に値した。彼は全てのフェアウェイを捉え、グリーンも1度しか外さず、この両方のスタッツでトップに立った。また、ティショットの平均飛距離は310dyを記録した。

これは、PGAツアーでプレーした過去6シーズン全てで、ストロークゲインド・オフ・ザ・ティでトップ5入りしてきたラームの復調と言えるパフォーマンスだった。昨季、このスタッツで1位だったラームは、今季のランキングを28位として今週を迎えていたのである。

「然るべき感覚になったのは今年初めてのことだった」と、ラームは木曜にドライバーについて語った。「自分のゲームの強みであるだけに、何かカギとなるものがあったわけではないんだ。単に、自分の照準やスイングにコミットしただけのことであり、思い通りに打つことができたんだ」

ラームは今年の初めにドライバーをキャロウェイの新モデル「パラダイム トリプルダイヤモンド」に変更。2023年に出場した最初のPGAツアー2大会で2勝、その3大会後にも今季3勝目を飾り、世界ランキングとフェデックスカップの両方でナンバーワンとなった。新ドライバーは先代に比べてスピン量が少ないため、ラームにとってはティショットで彼の好むカットショットが打ちにくくなったが、そんな成功を謳歌している最中にドライバーを変更することには難しさがあった。

ラームは木曜に、いくつかの異なる同モデルのヘッドを調整する中で、「ようやく自信を持って振れるドライバーを見つけた」と述べている。彼はその最新版を「ザ・プレーヤーズ」で使用しているが、第1ラウンドで「71」をマークした同大会は、体調不良により棄権を余儀なくされた。同じクラブを使用した世界ゴルフ選手権「デルテクノロジーズ マッチプレー」は31位タイで終えている。

「彼のスピン量は昨年より200 rpmほど少なくなりました。今年の序盤は左へ左へと狙ってしまう姿が見られ、ドライバーで望み通りのカットが得られていませんでした」と、キャロウェイのツアー&スポーツマーケティング上級部長であるジェイコブ・デイビッドソンは述べた。「我々は彼とスピン量を増やすことでカットが打て、ドライバーショットがより右へ降りてくるよう取り組んだのです。彼が好む、左側を狙い大きく曲げる弾道を取り戻せるようにしました」

ラームのストロークゲインド・オフ・ザ・ティが底辺に達したのは、39位タイで終えた「アーノルド・パーマー招待」でのことで、同大会ではこのスタッツが(予選通過を果たした選手で)フィールド最下位だった。ティショットで2ストローク近く失い39位タイで大会を終え、これは昨年7月以降ではPGAツアーにおける自己ワーストだった。しかし、ラームとキャロウェイは「ザ・プレーヤーズ」の練習ラウンドで解決策への手応えを感じた。

年初から使用する10.5度のパラダイム トリプルダイヤモンドのヘッドを別の物に交換し、ホーゼルセッティングをNSからロフトを加えるNS+1に変更したのである。これにより、ロフトが増したことでスピン量も増え、ラームの好む弾道が蘇った。キャロウェイのチームは、ラームに複数の異なるヘッドを用意し、ロフトが増えてもクローズに見えない物を見つけ出すのに役立てた。

新しいクラブを使用した最初のラウンドとなった「ザ・プレーヤーズ」の初日の上がり9ホールで、ラームがフェアウェイを外したのは1ホールのみだった。

「我々は良い方向に向かっていることを確信していましたが、残念なことに、その後、彼は体調を崩してしまいました」と、デイビッドソンは木曜に述べた。「先週、彼は(コーチの)デビッド・フィリップと練習していましたが、(練習ラウンドで)信じられないようなプレーをしました。確か、彼は先週スコッツデールで60をマークしたはずです。我々は今週を迎えるにあたり、彼が良いスコアを出すのは分かっていました」

ラームによる不屈のドライビングは再び歯車がかみ合い始めたようであり、それはオーガスタナショナルで優勝を狙う今週の彼にとって、何よりの吉兆と言えるだろう。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

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