「吹き替えなしの演奏や主題歌にも注目を」  映画「異動辞令は音楽隊!」5月14日に山口市民会館で上映

 2021年の第44回アカデミー賞で最優秀賞を受賞した話題作「ミッドナイトスワン」(2020年)でメガホンを取った内田英治監督による、昨年8月公開の映画「異動辞令は音楽隊!」が、5月14日(日)に山口市民会館(山口市中央2)の大ホールで上映される。主演は阿部寛で、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙、倍賞美津子、光石研らが脇を固める。

 犯罪撲滅に人生のすべてをささげてきた鬼刑事・成瀬司(阿部)。だが、コンプライアンスが重視される今の時代、違法すれすれの捜査や組織を乱す個人プレイ、上層部への反発や部下への高圧的なふるまいで、周囲から完全に浮いていた。組織としても看過できず、上司が成瀬に命じた異動先は、まさかの警察音楽隊! しかも小学生の頃に町内会で和太鼓を演奏していたというだけで、ドラム奏者に任命される。すぐに刑事に戻れると信じ、練習にも気もそぞろで隊員たちとも険悪な関係に陥る成瀬。だが、担当していた強盗事件に口を出そうとして、今や自分は捜査本部にとって全く無用な存在だと思い知る。プライベートでも随分前に離婚、元妻と暮らす高校生の娘にはLINEをブロックされてしまう。失意の成瀬に心を動かされ手を差し伸べたのは、「はぐれ者集団」の隊員たちだった。音楽隊の演奏に救われる人たちがいることを知り、練習に励む成瀬と隊員たち。ところが、彼らの心と音色が美しいハーモニーを奏で始めた時、本部長から音楽隊の廃止が宣告される-。

©2022「異動辞令は音楽隊!」製作委員会

 内田監督は、YouTubeで偶然見かけた愛知県警察音楽隊のフラッシュモブ映像に着想を得て、本作品の脚本を執筆したという。また、楽器演奏のシーンは、ドラム初挑戦の阿部をはじめ、演技の吹き替えは一切なし。さらに、主題歌「Choral A」は、人気バンド「Official髭男dism」(ヒゲダン)によってリリースされた。同バンドでベース・サックスを担当する楢﨑誠が、かつて島根県警察音楽隊に所属・演奏していたのがきっかけで、楢﨑もカメオ出演している。

 本上映会を企画した同館の西村真治主任は「ビッグバンドを結成した女子高生の奮闘を描いた日本映画『スウィングガールズ』(2004年)に通じる楽しさがある。『IN THE MOOD』『宝島』『聖者の行進』など、物語を優しく包み込むポップでさわやかなサウンドも魅力的。吹き替えなしの演奏、元県警音楽隊員のいるヒゲダンが手掛けた主題歌は必聴だ。定期的に警察音楽隊の演奏会が開催されている市民会館大ホールで、警察音楽隊の映画を楽しんで」と観賞を呼びかけている。

 上映時間は、「午後の部」が午後1時から3時で、「夕方の部」が5時から7時。前売り券は、一般1200円で、60歳以上のシニアおよび大学生以下の学生は1000円。同館とYCAMで購入できる。当日券は、それぞれ300円高。未就学児は入場不可だ。

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