「△パター戦争・春の陣」 キャロの攻勢にテーラーは“ブラック”で対抗か

三角の大きさと形は両者バラバラ(撮影/服部謙二郎)

◇国内女子◇富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 事前情報(6日)◇花屋敷GC よかわコース (兵庫)◇6435yd(パー72)

今季の国内女子ツアーも5試合を終え、そろそろ「新投入ギアの良し悪し」がはっきりしてくるころ。開幕戦で注目されたキャロウェイのパター「TRI-BEAM」(以下トライビーム)の評価はどうか? トラスを擁する“三角パター本家本元”のテーラーメイドは、対抗馬の出現にどのような対策を講じてきたのか。その両者、がっぷりよつの戦いをチェック。選手の使用感を含めてレポートする。

「芯でヒットしやすくブレが少ない」(上田桃子)

上田桃子のダブルワイド。開幕戦から使用中(代表撮影/JGMA)

キャロウェイの「トライビーム」は、開幕戦から上田桃子(ダブルワイド)や河本結(#7)、柏原明日架(#12)らがいきなり使用したことで注目された。上田は現在も使用中で、これまで出場した4試合でトップ10が2回、平均パットは2位と好調だ。「芯でヒットしやすく、満足しています。スイートスポットが広い感じがして、フェース面のブレがすごく少ない。不満もないのでこのまま使います」(上田)と、どうやら安定期に入った様子。一方で河本と柏原は元のパターに戻っていた。「今までのパターより初速が出るのでライン取りが変わってしまう」と、柏原はインサートを使い慣れたマイクロヒンジタイプに変えて再投入も検討しているとのことだ(トライビームはホワイトホットインサート)。

同パターはこれまで契約選手を中心にテストを重ねてきたが、先週の「ヤマハレディース」からヘッドの供給量も増え、契約外の選手も試す機会が増えている。今週は、山下美夢有(#2)や小祝さくら(#7)、永井花奈(#7)らトップ選手が練習ラウンドで試し、小祝、永井は本番で使う可能性が高い(こればかりは試合始まってみないとわからないが…)。

パッティング練習をする上田。トライビームがだいぶ定着してきた(撮影/服部謙二郎)

また、男子ツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」では、男子プロも同社の“△パター”に興味シンシンで、多くの選手がトライビームを試していた。しかもそのうち6人がいきなり開幕戦で投入したというから、性能面もクラブにうるさい男子プロのお眼鏡にかなうということか。トラスは男子ツアーで浸透しなかったが(そもそも男子ツアーでは積極的にプロモーションをしてこなかったように見える。中島啓太のみトラスTPジュノTB1を使用中)、トライビームは果たしてこのまま定着するのか。

フィールドの26人がトラスパター。驚異的な数字

一方のトラスパターの実状もチェック。同社の“三角パター”は今年で4年目を迎え、調べてみるとなんだかんだでトラス利用者は多い。先週の「ヤマハレディース」では実に26人もの選手が同社のトラスパターを使用(ちなみにキャロウェイのトライビームは4人)。新しく出ているスパイダーにもトラスネックがつくコラボ製品もあり、山内日菜子もその「スパイダーGT x ブラックトラスTM1」で優勝。本家本元もまったく負けていない。むしろ旗色はテーラーの三角のほうが優勢か。

黒になって初めてトラスを使う脇元(撮影/服部謙二郎)

ツアー現場ではトラスの中でも「ブラックシリーズ」が人気で、馬場咲希などはそのブラックトラス「TPジュノTB 1.5」にスイッチした。他にも渡邉彩香(TPジュノTB1.5黒)、ささきしょうこ(TPデルモンテTB1黒)、高橋彩華(TPジュノTB1.5黒)ら元々のトラスユーザーがブラックに移行。また、脇元華(TPデルモンテTB1黒)、イ・ナリ(TPジュノTB1.5黒)らが初のトラスユーザーになった。

渡邉は「黒になるとトラスネックの主張が気にならなくなる」とカラーリングの利点を説明する。メーカーは色が違うだけで中身は同じと説明するが、「黒になると打感が違う気がする」という声もプロの間から聞こえた。

トラス「TPジュノTB1.5」の見た目。黒になってネックの三角部分はまったく気にならない(撮影/服部謙二郎)

稲見萌寧(初代トラスTB1)や堀琴音(初代トラスTB2)、申ジエ(TPジュノTB1.5)ら元々のトラスっ子たちも依然として使用中で、彼女たちは変える様子はなし。トラスは開幕から5戦2勝(申ジエ、山内日菜子)と盤石の戦いぶりだ。

こうしてみると今のところまだトラスのほうが優勢だが、トライビームの攻勢も見もの。今後の展開はいかに。最前線からのレポートを待たれよ。(兵庫県三木市・服部謙二郎)

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