<金口木舌>「サル」から学ぶ愚かさ

 地球を飛び立った宇宙船が不時着したのはサルが支配する惑星だった―。SF映画の金字塔「猿の惑星」(1968年)。登場する人間は知能が低く、サルの奴隷として扱われる

▼「毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ」。小西洋之参院議員(立民)が記者団の取材にこう発言した。週1回の衆院憲法審メンバーをサルに例えて、猛反発を食らった。無礼ではないか

▼小西氏は放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書を巡り、総務相だった高市早苗氏を追及した。その人が「サル発言」を報道したメディアを批判するようなツイートを投稿し、波紋を広げた

▼他者を傷つける言葉は争いの種になる。国会議員や官僚の暴言が後を絶たないのは反省が足りぬから。小西氏はどうだろう

▼「猿の惑星」は宇宙船の乗組員が崩壊した「自由の女神」像を見つけるという衝撃的な結末を迎える。たどり着いた星が地球だったという事実に慟哭(どうこく)し、争いで文明を失った人間の愚かさを知るのだ。小西氏はこの映画を見ただろうか。

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