茨城県内自治体、民間と人材争奪 採用選考を前倒し

茨城県内の自治体が職員採用試験を早めている。県や一部の市町村では従来から1~2カ月前倒し。人口減少とともに、地方公務員の人気の陰りも指摘される中、民間企業の採用活動と時期をそろえて志望者を増やす狙い。より優秀な人材の争奪戦は激しさを増す。

県職員採用試験の応募者数は、企業と競合し、年々減少する。県人事委員会事務局の担当者は「企業の募集が早まり、工夫しなければ、優秀な人材が採用できなくなる」と危機感を募らせる。

県は2023年度入庁者の採用試験で、試験区分「事務」は、従来方式の「知事部局A」のほか、教養・専門知識を問わずに読解力などを重視する基礎能力検査(SPI)による「知事部局B」を設けた。

さらに、企業志望者も受験しやすいよう、事務Bは24年度入庁者の採用試験時期を従来の6月から4月に2カ月前倒し。SPIは全国どこでも受験できるようにし、試験期間も4月5~18日と幅を持たせた。

見直しの結果、採用枠10人程度に対する申込者は、23年度の115人から、24年度は278人と約2.5倍に跳ね上がった。同事務局は「前倒ししたことの効果があった」と一定の手応えを示す。

「人物重視」の事務B試験は、事務Aより論文と集団討論、個別面接の配点を高く設定している。個別面接ではエントリーシートを基にプレゼンテーションを実施。24年度に入庁する人に向けた採用試験の同シートでは「これまでの経験の中で身に付けた知識や能力を今後、茨城県職員としてどのような分野でいかに活用できるか、具体的に説明を」と事前に課題を示した。

県によると、職員採用の前倒しは、日立市やつくば市などでも行われるなど、県内市町村でも動きが見られる。

県は、より優秀で多様な人材を確保しようと、採用PR動画「あなたが創る いばらき未来」を制作し、動画投稿サイト「ユーチューブ」の同事務局公式チャンネルで若手職員の仕事などを紹介。学生用パンフレットでは、新たに女性幹部職員の紹介コーナーを設けるなど、魅力発信に力を入れている。

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