<食材条件に国際水準GAP> 五輪より引き上げ 大阪万博

2025年大阪・関西万博の運営主体である日本国際博覧会協会は、万博で使える農畜産物の基準案をまとめた。21年の東京五輪・パラリンピックの基準を基に作成。条件となる農業生産工程管理(GAP)認証を国際水準に引き上げる。

万博には150以上の国・地域が参加し、国内外へ農畜産物を発信する絶好の機会だ。調達基準は、パビリオン(展示館)で飲食サービスを提供する事業者などに対して定める。

最低限の基準として、五輪で条件としたGAP認証のうち、国際基準に満たないものや廃止のものを除外した。GAPは、点検や評価などを繰り返して生産工程を改善する取り組みで、国際基準では「食品安全」「環境保全」「労働安全」の3分野に加え、労働条件順守などの「人権保護」や、各業務の責任者の配置などの「農場経営管理」の2分野も確認する必要がある。

具体的にはグローバルGAPやJGAP、国際水準を満たす都道府県GAPなどが対象となる。世界的な人権意識の高まりや、農水省が都道府県独自のGAPを国際水準に引き上げるよう求めていることを踏まえた。必要な農産物でGAP認証品がないなど調達が困難な場合は、有機農産物なども認める。

事業者が自主的に取り組む「推奨基準」も設けた。有機農業や農福連携、世界農業遺産などの伝統的な農法などで生産した農産物を掲げた。畜産物では、国産飼料での生産などを勧める。積極的に調達した事業者は表彰する。

事業者に対しては、農畜産物調達の計画や結果は報告するよう義務付ける。基準案は同協会ホームページで公開し、4月14日まで意見を公募。結果を踏まえ7月ごろに策定する。

万博の開催期間は25年4月13日から半年間と五輪よりも長期間にわたり、約2820万人の来場を見込む。

© 株式会社日本農業新聞