新潟県議会議員選挙(県議選)は4月9日に投開票日が迫った。年間約2万4千人が減少し深刻化する人口減対策については、各党の新潟県組織がこぞって出産や子育て、教育の支援拡充を訴える。任期中に是非を迫られる可能性がある東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題は共産、社民が明確に反対する一方、賛意を示す政党はない。原発に対する各党の考え方には温度差もみられる。政策集や候補のリーフレットなどから、各党の訴えを比較した。
新潟県人口は1997年の249万人をピークに25年連続で減少し、214万人まで落ち込んだ。
対応策として、国政与党は子育て支援や地域振興をアピールする。
自民は政策集で、4月のこども家庭庁の発足を踏まえ、結婚・妊娠・出産・育児の切れ目ない支援体制を強化すると打ち出す。
公明の候補は、積極的な子育て支援策のほか、新潟県を活性化し魅力を高める一環として、プロ野球球団の誘致を目指すとした。
国政野党は保育や教育、医療の「無償化」などを前面に打ち出す。
立憲民主は、子ども医療費の補助拡充や中学校までの給食費無償化のほか、地域の公共交通や医療機関の維持を訴える。
日本維新の会は、出産費用や18歳までの医療費の無償化に加え、大学院まで所得制限なく無償で通える環境づくりを目指す。
国民民主は、18歳までの医療費無償化など「子育て支援10の無料化」を掲げる。教育国債を発行して人への投資を増やすとした。
共産は、中学までの給食費や18歳までの医療費無償化などを主張。「最低賃金1500円」で労働環境の改善も促す。
社民の推薦候補は、子ども医療費の助成拡充や、病児・学童保育の充実を訴えている。
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原発への姿勢も焦点になる。岸田文雄政権は原発を最大限活用する方針に転換し、夏以降に柏崎刈羽原発6、7号機を再稼働させる意向を表明している。
共産と社民はともに再稼働反対を訴え、省エネルギーや再生可能エネルギーの拡大を主張する。共産候補は政府の方針を「福島の現実をないがしろにした」と強調。社民の推薦候補は「再稼働には住民投票が必要だ」と訴える。
自民は政権の方針とは一線を引き、再稼働に対しては県独自の「三つの検証」を進め、結果を見極めるとする。その上で「将来的には、原発に依存しない脱原発社会を目指す」とビラに明記した。
立民は「『三つの検証』を再開し、具体的な避難計画を策定して実効性を検証、総括する」とした。再稼働は「民主的手続きで信を問う」と強調。再生可能エネルギーを推進し「原発ゼロへの道をつくる」と訴えた。
維新は「広く県民の声を聞き、方針を検討」としている。
国民の公認候補はリーフレットで、原子力災害に備えた避難計画の実効性を確保するとした一方、再稼働の賛否は明記しなかった。
公明は党や候補のビラで、原発について触れていない。