スマホ、ダメ。ゼッタイ。オーガスタの独自ルール/今さら聞けないマスターズの“マ”(7)

◇メジャー第1戦◇マスターズ 3日目(8日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7545yd(パー72)

ジョージア州のオーガスタナショナルGCでの「マスターズ」も後半に入りました。松山英樹が2021年に優勝した大会は、男子ゴルフの世界最高峰のトーナメント。いまさら他人に聞けない基本をコッソリおさらいします。

各ホールに花の名前

アザレア(つつじ)がオーガスタナショナルGCのシンボル(撮影/今井暖)

見渡す限り、美しいオーガスタナショナルGCの1番から18番のホールにはそれぞれ、草花の名称がつけられています。当地がもともと果樹園であり、植物の苗木も栽培されていたのがきっかけ。コースをつくったボビー・ジョーンズらが、土を掘り起こす前に植えられていた草花に敬意を示したものです。

大会期間中の場内には、ゴミを拾うためビニール袋を持ったスタッフが巡回し、クリーンの状態を徹底してキープ。そして、マスターズは他のゴルフの試合とは一味違う独自ルールの順守を、お客さん(パトロン)をはじめとした、場内の人々に求めています。

まず、コース内を走ってはいけません。お目当ての選手を目がけて駆け出すと、スタッフから注意を受けます。また、芝の上に座れる場所が限定されているのも特徴で、禁止エリアで腰を下ろそうとすると「ここに座るには折り畳みのイスが必要」と、移動を促されるでしょう。

取材パスを取り上げられた人も

お客さんがスマホを構えないプロゴルフの試合はもうココだけ?(撮影/今井暖)

現代社会ではちょっと“考えられない”のが、スマートフォンをはじめとした通信機器の持ち込み禁止です。ゴルフ観戦は「打つときはお静かに」が基本マナーで、他の試合でも選手のプレー中の通話やカメラのシャッター音などは厳禁ですが、マスターズは場内に持参することも許しません。お客さんは会場まで乗ってきた車の中に置いておくのが一般的です。

一刻も早く戦況を伝えたい…というメディア関係者も例外ではありません。ガラケー時代から、携帯電話を使えるのはプレスビルディング(メディアセンター)の中だけ。うっかり、外の喫煙所で画面を見ていたのが見つかるなどして、警備員に「お帰りください」と取材パスをその場で没収された報道陣もこれまで、一人や二人ではないのです。

伝統的なスコアボードは手動で(撮影/今井暖)

コース内には、他の試合では当然ある電光掲示板が一切なく、選手の成績を伝えるのはスタッフが大きな板を手動で入れ替える伝統的なスコアボードしかありません。全選手のショットの様子が追えるホームページをはじめ、マスターズはデジタル戦略もゴルフ界をリードする一方で、オーガスタナショナルGCの内部はタイムスリップしたようでもあるのです。

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