家族の写真 カメラマン出張撮影 岡山県内、サービス利用増える

山本さん(右)の指示で木のフレームに収まる家族=1日、岡山市中区

 家族の“ハレの日”写真を手軽に―。専用サイトを通じてカメラマンに依頼し希望場所に来てもらう「出張撮影サービス」が人気だ。新型コロナウイルス禍に密を避けて子どもの成長を自然な表情で記録できると、岡山県内でも利用が増えている。

 岡山市の百間川沿いの桜並木で1日、写真撮影する家族がいた。「シャボン玉をつかまえて」「フレームの中に顔を入れてみよう」。カメラマンの山本恭平さん(39)=同市=がポーズを指示する。

 この家族は長男の小学校入学記念にサービスを初めて利用した。桜との撮影を望み山本さんの提案で場所を決定。母親は「こんなにきれいなスポットがあるとは知らなかった」と喜んだ。山本さんは「声かけや小道具で楽しい雰囲気になるよう工夫している」と話し、子どもは次第に慣れて、無邪気な笑顔を見せていた。

 山本さんが登録する出張撮影マッチングサービス「fotowa」(東京)によると、2019年に全国で約1万3千件だった撮影件数は、22年に約3万件と新型コロナの影響で急増。七五三といった伝統行事に加え、最近は新生児期の記録や誕生日、卒園・入学の需要も伸びている。担当者は「遠出が難しいコロナ禍だからこそ、密を避けて記念写真で思い出を残したい人が増えているのでは」と推測する。

 公務員男性(40)=岡山市=の家族は3月、4人目の子ども・次男(2カ月)のお宮参りのため「OurPhoto」(東京)を利用し、なじみの沖田神社(同市)での撮影を頼んだ。カメラマンの小分坂剛さん(29)=久米南町=は1時間かけ祈祷(きとう)の様子や4世代総勢12人の集合写真などを収めた。

 長男と長女のお宮参りでは、参拝後に家族で写真館を訪れたという。だが祖父母が高齢で移動が大変な上、コロナ禍での屋内撮影が気にかかり、次女の時に出張サービスを依頼。カメラマンとの距離が近く自然な表情を撮ってもらえて気に入った。妻(37)は後日届くデータを好きなようにコラージュするのも楽しみにしている。

 ワンランク上の写真でカジュアルに節目を彩ってみてはどうだろう。

 出張撮影サービス フリーカメラマンらと依頼者をつなぐマッチングサイトから申し込む。希望の日時や場所を選ぶと対応できるカメラマンが表示され、自己紹介文や過去の作品を見て指名できる。料金はサイトごとに異なる。例えば平日1時間撮影し数十枚以上の写真データがもらえるサービスは1万5千~2万円程度。

小分坂さん(左)に集合写真を撮ってもらう家族=3月5日、沖田神社

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