1人1日の平均的な野菜摂取量は295gほど…1日350g以上必要なワケとは?【植物の話】

賢く食べれば、健康増進と生活習慣病などの予防になる

野菜にはビタミン・ミネラル・食物繊維など、体の調子を整え、体の機能を正常に維持する大切な栄養素が含まれています。さらに免疫力の向上や抗酸化作用があるともいわれています。このように、野菜には健康面でさまざまな効能がありますので、野菜不足になりがちな現代人にとって、野菜をあまり食べないことは実にもったいない話です。

平成21年の国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、国民1人1日の平均的な野菜摂取量は295gほどしかなく、1日に350g以上の野菜を摂取する目標を策定しました。特に若い世代の野菜摂取量が少なく、平成29年の調査では20歳〜39歳で270g以下となっています。

サプリメントや栄養補助食品でビタミンや食物繊維を補給している人も多いのですが、補助食品では、野菜・果物に含まれる多様な栄養素とその相互作用までを、体内にとり入れることは難しいとしています(農林水産省)。

野菜・果物には、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。ビタミンは発がん物質の生成や活性酸素の発生を抑制し、ミネラルのカリウムには血圧を下げる働きもあります。食物繊維は腸を掃除し、糖尿病などの生活習慣病の予防になるといわれています。野菜・果物を食べたほうが疾病の予防効果が期待できるので、1日350g以上食べましょうというわけです。

しかし多忙な現代人にとって、350gをどうやって食べるか、それが問題です。朝、昼、晩に120gの野菜を1皿加えればいいのですが、いったいどのくらいの量なのか、考えるのも面倒というのが、特に若い人に多いのではないでしょうか。そこで参考となる目安を下図に用意しました。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』
監修:稲垣栄洋 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
植物学者・静岡大学教授。1993年、岡山大学大学院農学研究科(当時)修了。農学博士。専攻は雑草生態学。1993年農林水産省入省。1995年静岡県入庁、農林技術研究所などを経て、2013年より静岡大学大学院教授。研究分野は農業生態学、雑草科学。

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