手応え十分“ドヤ顔”ショットがバンカーへ 比嘉一貴「堂々とできなかった」

比嘉一貴はガルシアと握手してオーガスタを去った(Christian Petersen/Getty Images)

◇メジャー第1戦◇マスターズ 3日目(8日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7545yd(パー72)

フェアウェイセンターから放った打ち上げのアイアンショットは、手応え十分だったという。終盤17番、比嘉一貴は「自分なりにベストのショット。ちょっと恥ずかしい話ですけど、打った後にたぶん“ドヤ顔”をしていたと思う」と冗談めかして苦笑いする。

左奥にピンが切られ、下り傾斜で奥にこぼれてもOKというプランだった。ショットの感触的にも「奥をかじって(残って)たら、ラッキー」との見立て。しかし、実際は左手前のバンカーに入っていた。「自分が思っていたよりも15ydくらい飛んでいなかった」。雨が降り、一気に冷え込んだコンディション。スタート前の練習から弾道計測器で飛距離の変化は頭に入れていたつもりだったが、「予想以上に長かったですね」と対応しきれなかった。

左下がりのつま先上がりと厄介なライで、アゴまでは距離がある一方、グリーンに乗ったらピンは目の前。本来なら右を向いて10m超のパーパットを残したいほど厳しい状況でも、「もう行くしかないので。ピンに当てて止めるしかない」。奥のグリーンエッジまで止まらず予選通過が遠のくボギー。グリーン上からの再開となった15番(パー5)でバーディを奪った後、3連続ボギーでのフィニッシュとなり、通算6オーバー65位で戦いを終えた。

初出場のマスターズを振り返り、「近づくにつれて不安の方が大きくなって、会場に入ったら雰囲気にのまれ、堂々とできなかった。最初に恐る恐るやっていたというか、不安が勝ってしまったのかな」。悔しさをにじませつつ、ショートゲームで粘り強くパーを拾う場面も少なくなかったことはポジティブに受け止める。

この経験、そして東北福祉大OBの先輩である松山英樹と同じ試合会場で過ごした3週間が今後の糧になる。「松山さんからも“ここに来てほしい”という思いを感じた。早く同じ舞台で一緒に戦えるように頑張りたいですし、松山さんを脅かせる存在になりたいと強く思いました」と誓う。

今年新設された「インターナショナルフェデレーションランキング」上位3人の資格で5月のメジャー第2戦「全米プロ」(ニューヨーク州オークヒルCC)の出場権獲得も近い。「また違うタフさのあるトーナメント。でも、(昨年の)全英、今週のマスターズよりは自信をもって臨めると思う」とした上で、オーガスタへのリベンジの思いも新たにした。「今回は特別招待で、どちらかというとラッキーが大きい。今度はしっかり世界ランキング(50位以内)に入って自力で出場資格を取ってこられるように。この1年、海外をたくさん回ってどれだけ成長できるかが、次ここに帰ってきたときに堂々とやれるきっかけになると思う」。小さな体で描く大きな夢は、さらに広がっていく。(ジョージア州オーガスタ/亀山泰宏)

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