「統合失調症になって世界は変わった わからなかった価値観がそこにはあったんだよ」―。北上市九年橋のNPO法人スタッフ中野寛人さん(36)は、20代で発症した心の病の経験を歌にしている。仕事に追い詰められて悩んだ日々を越えて、生み出された言葉の一つ一つは、悩みを抱える多くの人を優しく励ましている。
同市本通りのフリースペース「ワラタネスクエア」は、不登校の子や保護者、ひきこもりの人らが集い、思い思いに過ごしている。中野さんは、運営するNPO法人ワーカーズコープ北上笑いのたね事業所(後藤誠子所長)のスタッフとして働きながら、時々ギターを手に曲を披露する。
後藤所長(56)は「中野さんの歌や醸し出す雰囲気は、聞く人に『あなたはあなたのままでいい』と言ってくれているようだ」とほほ笑む。