串本町の橋杭岩にハト千羽 東北へレース

国の名勝・天然記念物「橋杭岩」の前を東北地方に向かって飛び立つハトの群れ(9日午前6時10分、和歌山県串本町くじの川で)

 和歌山県の串本町くじの川にある国指定の名勝・天然記念物「橋杭岩」前をスタート地点とした「日本鳩(はと)レース協会」のハトレースが9日にあり、一斉に放たれた約千羽が、東北地方のゴールを目指して飛び立った。同町をスタート地点にしたレースは毎年この時季に行われており、春の風物詩として写真愛好者らに親しまれている。

 レースは、飼育されている鳩舎への帰巣本能を利用したもので、協会の宮城地区競翔連盟や福島地区競翔連盟などが合同で実施。

 当初は8日に予定していたが、ルート上の天候が悪かったことから順延。9日は日の出から30分ほどが経過した午前6時10分、運んできたトラックからハトが一斉に放たれ、約600~700キロ離れたゴールを目指して飛び立った。早いものだと9時間ほどで到着するという。

 飛び立つ様子を撮影しようと待ち構えていた写真愛好者の姿もあり、大阪市から訪れたという男性(74)は「初めて見たが、迫力があった。来年もぜひ撮影に来たい」と笑顔を見せた。

 宮城地区競翔連盟の若生純一さん(71)=仙台市=は「距離も長いし、天敵もいるが、一羽でも多く無事に帰ってほしい」と見送っていた。

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