大学キャンパス内で栽培したぶどうで醸造したワイン 千葉商科大学「CUCオリジナルワイン」が完成!

2023年2月7日千葉商科大学にて、CUC100(ワンハンドレット)ワイン・プロジェクトのオリジナルワイン第一弾「Vignobles sur le campus(ヴィニョーブル・スュール・ル・キャンパス)」の完成披露会が行われた。

ワインづくりから考える農業やエネルギー、そして地域の未来

CUC100ワイン・プロジェクトとは、2028年に迎える千葉商科大学創立100周年に向けて千葉県市川市国府台産のぶどうで大学オリジナルワインの醸造を目指し、2019年1月よりスタートしたプロジェクトだ。

プロジェクトの活動資金はクラウドファンディングで支援を募り、その支援総額は目標額を超える350万4000円に上った。キャンパス内にある旧ピッチング練習場の土壌を改良しぶどう畑に整備、同年3月にはぶどうの苗の植付けを始めた。

もともと千葉商科大学はメガソーラー野田発電所を所有し、学内で使用する消費電力を自家発電した再生可能エネルギーで調達する「自然エネルギー100%大学」を2019年に達成している。現在も全学的な体制で創エネ・省エネに取り組むなど、サステナブルな社会の実現に向けて数々の先進的な活動を行なっている大学だ。

学生が主体となり、ソーラーシェアリングをしながらキャンパス内でぶどうを栽培しワインづくりに挑戦するというこのプロジェクトは、農業の未来やエネルギー資源について考えるきっかけや大学が地域交流の拠点となることを目的としている。

畑にはぶどう以外にも野菜を育て支援者を招いてのBBQ交流会や収穫祭なども実施。市川市内で子ども食堂を運営する「市川こども食堂ネットワーク」へ野菜を寄付するなど、その活動はワインづくりだけにとどまらない。

苦難も乗り越え第一弾のワインが完成!

プロジェクトメンバーである学生は、山梨県甲州市勝沼にある白百合醸造株式会社の全面的な協力・指導を得てワインづくりの基本を学び、土壌づくりから草刈り、ぶどう棚の造作、剪定や誘引作業、農薬散布など、力を合わせてぶどうを育ててきた。

2021年は、ぶどうべと病の影響や台風・鳥獣被害などで収穫ができないという苦難にもみまわれたが、2022年9月には46kgのぶどう(マスカット・ベーリーA)を収穫。山梨県産254㎏を加えて合計300㎏のぶどうを白百合醸造株式会社で醸造し、今回第一弾として300本のオリジナルワインが完成した。フレッシュですっきりした辛口が特長だ。

大学のキャンパス内で栽培したぶどうで醸造したワインは千葉県で初となる。ネーミングとラベルデザインは、学生・教職員・同窓生による公募で学生の作品が選ばれ、フランス語で「学内のぶどう畑」を意味する「Vignobles sur le campus(ヴィニョーブル・スュール・ル・キャンパス)」と名付けられた。

さらに創立100周年に向けて収穫量を増やし、100%市川市国府台産となるオリジナルワインの完成を目指している。

→ワインづくりから養蜂へと広がる活動

ワインづくりから養蜂へと広がる活動

CUC100ワイン・プロジェクトのメンバーは、ぶどう栽培やワインづくりを通して感じた「人間と自然が共生する意義」を、さらに多くの人々と共有し理解を深めたいと2022年3月より養蜂事業「国府台bee Garden」にも取り組み始めた。

都市養蜂の先駆者である「銀座ミツバチプロジェクト」の全面的支援を受け、花粉交配を担うポリネーター(送粉者)として非常に重要な役割を持つミツバチをキャンパス内で飼育する。大学周辺の緑化および生態系の維持に貢献するとともに、採取した蜂蜜で地元菓子店やレストラン等とコラボ商品を開発・販売し地産地消の促進や地域活性化にもつなげている。地域住民や子どもたちに向けた、草花観察会、採蜜体験会、ミツバチ観察会などのさまざまな交流も行なっていく。

CUC100ワイン・プロジェクトが繋ぐ地域の未来

「1本のワインボトルの中には、全ての書物にある以上の哲学が存在する」

フランスの細菌学者ルイ・パスツールの言葉にあるように、ワインづくりから学ぶことは無数にある。

千葉商科大学が創立100周年を迎える2028年には、多世代が繋がって地域を支え合う文化がより一層必要となるだろう。

その時、このプロジェクトに関わった大学生が社会人として地域を支え、小学生は大学生になってプロジェクトの中心メンバーとして活躍し、高齢者は農作業を通して元気になる。そんな未来を想像しながら、このプロジェクトに参加する学生たちはぶどうを育てている。

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