スペインの印象 版画で伝える 長崎県美術館で220点展示

作品を鑑賞する来場者=長崎市、県美術館

 豊かな芸術文化や闘牛など、スペインという“国”のイメージ形成に貢献した版画の史的展開をたどる展覧会「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」が長崎市出島町の長崎県美術館で開かれている。17世紀から20世紀後半までの時間軸で、版画を中心とする220点を展示している。6月11日まで。
 国立西洋美術館(東京)の企画で、県、県美術館との共催。両美術館のスペイン美術コレクションを軸に、国内で所蔵されている作品を集めた。複製が可能な版画という芸術メディアによって一国の文化、風俗などのイメージがどのように広がっていったのかを追う。
 セルバンテスの「ドン・キホーテ」の挿絵やスペインの魅力を伝える19世紀初めの挿絵入り旅行記、生と死が隣り合う闘牛を題材とした作品などを展示。ピカソ、ミロ、ダリら20世紀の巨匠の作品も紹介し、スペイン版画の系譜をたどる。
 県美術館の稲葉友汰学芸員は「スペインのイメージがどのように形作られ広がっていったのか。芸術作品を通して時空を超えた“旅”を感じてもらえれば」と話した。7月4日からは、国立西洋美術館で開催する。

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