【tvk根岸アナ】開幕4連敗後、盛り返しのベイスターズにこの男あり

8回横浜DeNA2死三塁。セーフティバントを決め笑顔の関根=8日、横浜(花輪 久写す)

 tvkプロ野球中継「熱烈LIVE」を担当する吉井祥博アナウンサー、根岸佑輔アナウンサーが日々の出来事やエピソードをコラムでお伝えします。今回は根岸アナウンサー。

 ベイスターズがついに目を覚ました。まさかの開幕4連敗。しかし、4月5日のホーム開幕2戦目で今シーズン初勝利をあげると、一気に4連勝。ハマスタからは始まった快進撃。その中で、ひときわ輝きを放つ一人の男がいた。プロ10年目、関根大気だ。チームに足りなかったピースを補うような活躍を、走攻守の全てで見せている。

◆光る好走塁

 走塁では4月6日、巨人戦の五回だった。1死一、三塁で、東が送りバントを試みると、関根は好判断で三塁からホームへ走って先制。この走塁には伏線があった。二回にセンターへのヒットで二塁を狙うもアウト。しかしベンチで仲間から「ナイストライ」の声が飛んだ。その声があったからこそ、小さな可能性にチャレンジできた。

 また、8日の中日戦では、1死二塁から伊藤が三塁へゴロを放った。セオリーでは二走・関根はスタートを切る打球ではないが、見事三塁を陥れた。相手の守備陣形を把握し、確信を持っての好走塁だった。

 打撃では、4割を超えるアベレージ。その8日の中日戦では4打数4安打の固め打ち。八回に見せた特大ファウル後の意表を突くセーフティバントは駆け引きの妙を感じた。翌9日にはチーム今季初の三塁打。アウトになった打席でもきっちり進塁打でチャンスを広げた。

◆守備でもアピール

 守備でも、5日巨人戦で、先発平良を救うライン際のスーパーキャッチ。4連勝を決めた中日戦でも右中間に抜けそうな打球を好捕。スピードを生かした守備範囲と球際の強さでチームを救った。

 高卒1年目から1軍を経験し、2年目には開幕戦の代打でプロ初本塁打をマークするなど、大きな期待を受けてきた。tvkで解説をしていた駒田徳広さんが、体の開きをギリギリまで我慢して打つ姿を見て、「将来3割を打てる素質がある」と青木(ヤクルト)の打撃と重ねて話していたことを今も覚えている。

 しかし、2年目途中の足のケガや、3年目開幕前の右肩脱臼など、度重なる故障に悩まされ、その間に2つ先輩にあたる桑原が台頭してレギュラーに。2017年はオープン戦で4割7分6厘のアベレージを残したが、開幕からスタメンで起用されたのはオープン戦打率2割台の桑原だった。関根は「積み上げた実績の差。この結果は自分が招いたこと。結果を出すしかない」と冷静に受け止め、前を向いた。

◆チームのスタイル体現

 代打や代走、守備固めといった役割がメインだった中、再びチャンスが巡ってきたのは2021年。三浦監督が就任後、出番が増え、キャリアハイの出場数を2年連続で更新した。

 「野球人生は有限」。今シーズン開幕前のオフにメキシコでの武者修行を選択したことを聞かれると、本人から発せられた言葉だ。どんな逆境にも下を向かず、己の野球人生を精一杯にまい進してきた。その成果が今、実を結んでいる。

 「長打に頼らず1点を取る野球」「2つ先を狙う走塁」。ベイスターズが目指すスタイルを体現できる中堅の活躍から目が離せない。

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