五木寛之、初のテーマ別作品集、待望の第2弾! 五木寛之セレクションII【音楽小説名作集】が4月に発売

五木寛之セレクションⅡ【音楽小説名作集】が4月5日に東京書籍株式会社より発売された。 第II巻目は【音楽小説名作集】として、衝撃のデビュー作『さらばモスクワ愚連隊』をはじめ、ジャズやファドなどをテーマに、人間の生き方と音楽の根源に迫る名作の数々を収録。音楽は国境を超え、60年代のリズムが甦る。

【収録作品】

「さらばモスクワ愚連隊」(1966・6)

モスクワの裏通りを舞台に不良少年たちが奏でる奇跡のジャズ演奏。「音の聴こえてくる小説」と絶賛され、音楽と人生の本質に迫った鮮烈なデビュー作。小説現代新人賞受賞。

「海を見ていたジョニー」(1967・4)

音楽は人間だ。ジャズ的とは人間的なことだ。戦場に赴いた黒人兵ジョニーの戦慄のピアノ演奏がつむぐ、愛と哀しみの人間ドラマ。レコード化、映像化もされた不朽の名作。

「老兵たちの合唱」(1968・1)

ニューオリンズの黒人ジャズバンドによる日本公演が企画された。はたして公演は実現できるのか、成功するのか。平均年齢68歳のバンドマンが奏でる奇跡の演奏。

「われはうたへど」(1969・8)

あえて日陰の道を歩む老作詞家。依怙地な男には、戦時中、戦意高揚歌を作っていた過去があった。逃れがたい運命を背負った男にとって音楽とは何であったのか。

「帝国陸軍喇叭集」(1970・7)

スター歌手に逃げられ、途方に暮れる音楽ディレクターは、とある小劇場で衝撃を受ける。そこで目撃したものは陸軍喇叭だった。命運をかけた勝負が始まる。

「暗いはしけ」(1971・10)

ポルトガルリスボン。ファドの歌い手との運命的な出会いと、衝撃的な結末。作詞家・五木寛之の手による「鳩のいない村」(1970年日本作詞家大賞受賞)の楽譜も掲載。 巻末には、マイク・モラスキーとの対談解説を掲載。

【対談解説】(60頁)

五木寛之 VS マイク・モラスキー

戦後の闇文化やジャズ文化を中心に、五木作品の異質性やピエ・ノワール(引揚者)の系譜について、まさにジャズのように縦横無尽に語りあう。

<マイク・モラスキー>

早稲田大学国際教養学部教授、専攻は日本文化研究・ジャズ研究。 1956年(昭和31年)米国セントルイス生まれ。1976年に初来日。シカゴ大学大学院東アジア言語文明研究科博士課程修了(日本文学)。ミネソタ大学教授、一橋大教授を経て現職。 著書は『戦後日本のジャズ文化』(岩波現代文庫、2006年サントリー学芸賞)、『呑めば、都─居酒屋の東京』、『ジャズ喫茶論─戦後の日本文化を歩く』(以上筑摩書房)、『日本の居酒屋文化―赤提灯の魅力を探る』(光文社新書)、『占領の記憶 記憶の占領─戦後沖縄・日本とアメリカ』(鈴木直子[訳]、岩波現代文庫)、『ジャズピアノ(上下)─その歴史から聴き方まで』(岩波書店、2023年秋刊行予定)など、ジャズや居酒屋をテーマにした書籍を多数執筆。ジャズ・ピアニストとして演奏も行う。

【月報】

投げ込みの「月報」では、五木寛之の書下しエッセイと同時代評論を掲載。 Vol.2の掲載は、五木寛之、水野忠夫、寺山修司。

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