4人に1人が経験してる?就活ハラスメントを防ぐための企業対策

パワハラ、セクハラ、モラハラなど、ハラスメントに関するニュースや記事を毎日のように目にしますね。

2022.07.05

それって○○ハラ?職場で気を付けるハラスメントとは

パワハラやモラハラ、セクハラといったハラスメントは個人の尊厳を傷つける行為であり、決して許される行為ではありません。 2022年4月1日よりパワーハラスメント防止措置が中小企業の事業者に対しても義務化され、多くの企業が...

就職活動、採用活動のなかにもハラスメントは存在し、採用担当者はもちろんのこと、採用に参加する、参加する可能性のある担当者はどのような行動や言動がハラスメントにあたるのか、知っておく必要があります。
企業向けの防止対策、学生向けの防止対策があるうち、今回は企業側の防止対策を解説します。

2022.11.21

就活セクハラの企業リスクと防止策、就活生がハラスメントを受けた場合の対処法をご紹介

皆さんは「就活セクハラ」という言葉を耳にしたことはありますか? 就活セクハラとは、就職活動中の就活生やインターン生が企業の担当者などから、セクシャルハラスメント(通称セクハラ)を受けることを言います。 厚生労働省の調...

就活ハラスメントとは

まずは就活ハラスメントの定義をみていきましょう。
就活ハラスメントとは、就職活動中やインターンシップ中の学生などに対するパワーハラスメントや、セクシュアルハラスメントを指します。
立場の弱い学生などの人格や尊厳を不当に傷つける、許されない行為です。
令和2年度の厚生労働省の調査では、学生のおよそ4人に1人が就活ハラスメントの被害に遭っていました。
就活ハラスメントは、企業にとって社会的信用の低下や応募の減少はもちろんのこと、従業員の意欲の低下による生産性の悪影響など、さまざまなリスクが生じる重大な問題です。
労働施策総合推進法に基づく指針、および男女雇用機会均等法に基づく指針において、就活ハラスメントの防止措置が望ましい取り組みとして明記されています。

就活ハラスメントの実態

では、就活ハラスメントの実態とはどのようなものなのでしょうか。

①誰が起こすのか?

就活ハラスメントはどのような人が起こすのでしょうか。
学生にアンケートを行ったところ、一番多かった回答は「インターンシップで知り合った従業員」32.9%でした。
以下、「採用面接担当者」25.5%、「企業説明会の担当者」24.7%、「大学のOB・OG訪問で知り合った従業員」17.6%と続きます。

②ハラスメントの具体的な行為は?

およそ4人に1人が経験していると就活ハラスメントで、一番多い行為は「性的な冗談やからかい」40.4%でした。
以下、「食事やデートの執拗な誘い」27.5%、「性的な事実関係に関する質問」26.3%と続き、女性に限らず、男性も被害を受けています。

③どのような場面で起きるのか?

就活ハラスメントは、インターンシップや企業説明会など、企業担当者と学生が接触するときに起きるものです。
特に多い場面はインターンシップや企業説明会、セミナーです。
このほかには、就職採用面接を受けたとき、内々定を受けたとき、リクルーターと会ったとき、志望先企業の従業員との酒席の場など、さまざまな接触場面で起きています。

企業にとって就活ハラスメントは大きなリスクです。
社会的信用を失うリスク、損害賠償請求をされるリスク、そして行為者は刑事責任を問われるリスクがあります。
どうすれば就活ハラスメントを防止することができるでしょうか。

企業が行うべき防止対策

就活ハラスメントを防止するには大きく2つのポイントがあります。
1つ目はハラスメント防止の方針の明確化です。
全従業員に対して、就活ハラスメントを含むすべてのハラスメントを禁止する方針を明確にすること、行為者を処分する社内規定や規則を設けて周知することが必要です。
2つ目はハラスメント防止体制の整備です。
全従業員にハラスメント防止に関する研修を継続的に実施すること、学生などと接する際、採用担当者は可能な限り2名以上として、面談は複数名で対応するなど、採用活動におけるルートを明確にする必要があります。

就活ハラスメント防止対策に取り組んでいる企業にはいくつかの共通点があります。
これから対策や取り組みの見直しを検討している企業は次の3つ点に着目してみてはいかがでしょうか。

① 公正な採用選考に基づいた面接の実施

公正な採用選考(厚生労働省が事業主にお願いしている採用選考のあり方)の考え方に沿って面接などを行うことは、就活ハラスメント防止対策において基本的な方針となります。

② リクルーターの行動指針やマニュアルの策定

就活ハラスメントの中でも特に起こりやすいセクシュアルハラスメントの対策として、行動指針やマニュアル、ガイドブックの策定・活用など、リクルーターへの研修は有効です。

③ 応募者の個人情報の限定利用

就活ハラスメントがそもそも発生しないように、面接官などに対して、学生の個人情報を一部非公開にして、個人情報が悪用されるのを防ぐなどの対策を取り入れるのも有効です。

就活ハラスメントを防止するには、従業員一人ひとりの意識が必要であり、企業としてしっかりと防止対策を行うことが必要不可欠です。
学生の安全と会社の将来を守るために、今からでも遅くありません。
自社の採用活動に就活ハラスメントの防止対策を取り入れましょう。

<参考>
・ 厚生労働省「就活ハラスメント防止対策企業事例集を作成しました!」
・ 厚生労働省「カスタマーハラスメント・就活ハラスメント等防止対策強化事業 <企業の皆様へ>」
・ 厚生労働省「令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査報告書」

投稿 4人に1人が経験してる?就活ハラスメントを防ぐための企業対策産業保健新聞|ドクタートラスト運営 に最初に表示されました。

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