歌舞伎役者・中村獅童の舞う能 張り詰めた緊張感と何かが起こりそうな気配 「ヴィレッジ」本編映像

2023年4月21日より劇場公開される、藤井道人が監督・オリジナル脚本を手がけ、横浜流星が主演する映画「ヴィレッジ」から、横浜流星演じる優と黒木華演じる美咲が、村で行われる薪能を見るため、村の能楽堂を訪れるシーンの本編映像が公開された。

村に伝わる伝統的な「薪能」が行われる能楽堂は、子供のころの優と美咲にとっては親しみ深い場所だった。村中からさげすまれ、過去の汚名を背負って生きる今の優にとっては避けてきた場所でもあるが、美咲に誘われて久しぶりに能を鑑賞する。燃え盛るたいまつの美しい灯りと荘厳な音色を奏でる囃子(伴奏)が流れる中、能を舞うのは歌舞伎役者としても活躍する中村獅童演じる大橋光吉。光吉は、代々村長を受け継ぎ、村の中で絶大な権力を誇る大橋家の次男で、能の舞手として才能を発揮し、将来を有望視されてきたものの、ある事件をきっかけに村を出て刑事になっていた。

映像ではほかに、同じように「能」を鑑賞する作間龍斗演じる美咲の弟・恵一や、村長として豪腕を振るう古田新太演じる光吉の兄である大橋修作、修作らの母であり、村の象徴たる存在として君臨し続ける大橋ふみ(木野花)、修作の息子で権力をかさに悪行を繰り返す透(一ノ瀬ワタル)といったメンバーが勢ぞろいしている。それぞれが思惑をはらんだ表情で能の演目を見つめる様子は緊張感がみなぎり、これから何かが起こりそうな気配にあふれたシーンとなっている。

本作において、能は物語の核をなす重要なメタファーで、演目の「邯鄲(かんたん)」は作品に大きな影響を与えている。能楽師の塩津圭介氏が演目選びから所作の指導、監修、出演まで全面的に協力し、今回解禁されたシーンでは、塩津圭介氏の父である哲生氏をはじめ、シテ方から囃子方(伴奏担当)まで現役の能楽師の面々が出演している。

「ヴィレッジ」は、「村」という閉ざされた世界に、現代社会の闇を投影した異色のサスペンス・エンタテインメント。舞台となるのは、夜霧が幻想的な、とある日本の集落・霞門村(かもんむら)。神秘的な薪能の儀式が行われている近くの山には、ゴミの最終処分場がそびえ立つ。幼い頃よりこの村に住んでいる片山優(横浜流星)は、ゴミ処理施設で働いているが、母親が抱えた借金の支払いに追われ、ゴミ処理施設で働く作業員に目をつけられ、希望のない日々を送っている。そんなある日、幼なじみの美咲が東京から戻ったことをきっかけに、物語は大きく動き出す。

監督・オリジナル脚本を手掛けるのは、「新聞記者」「余命10年」の藤井道人。横浜流星とは5度目のタッグとなる。「新聞記者」「ヤクザと家族 The Family」「空白」などのスターサンズ・河村光庸プロデューサーの遺作となった。

【作品情報】
ヴィレッジ
2023年4月21日(金)全国公開
配給:KADOKAWA/スターサンズ
©︎2023「ヴィレッジ」製作委員会

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