「オジエはラリーから離れられない」とタナク。“ライバル”オジエのWRC継続参戦を熱望

 TOYOTA GAZOO Racing WRTのパートタイム・ドライバーとして、2023年のWRC世界ラリー選手権のトップカテゴリーに参戦しているセバスチャン・オジエ。彼は当初の予定を変更することなく、勝田貴元と3台目のトヨタGRヤリス・ラリー1をシェアするパートタイム・プログラムを楽しんでいるが、オジエの元同僚でWRCチャンピオンの経歴を持つMスポーツ・フォードWRTのオット・タナクは、シリーズ“8冠王者”が最前線に留まることを勧めている。

 既報のとおり、オジエは4月20日~23日に開催される今季第4戦『クロアチア・ラリー』にチャンピオンリーダーとして臨む。これにより、彼は2022年シーズンの第11戦ニュージーランドから次戦クロアチアまでの7戦中6戦に出場していることになる。これを踏まえて、現在のチャンピオンシップリーダーであるオジエはこのままのペースで参戦を続けるべきだと主張するタナクは、WRC.comに対し次のように語った。

「彼(オジエ)は2022年シーズンの終盤から、ほとんどすべてのラリーに参戦しているんだ。メキシコで良いポジションを狙うためにスウェーデンを欠場したのは賢明だったかもしれない」

「僕が思うに、彼はラリーから離れることができずにいるんじゃないかな」

 Mスポーツ・フォードWRTでオジエとともに2017年シーズンを戦ったタナクは、「彼がWRCに残ることは、選手権にとっても、ラリーそのものにとっても最善の選択だ。彼がいてくれて、僕らの前を走りコースを掃除してくれるのは大歓迎だよ」と続け、オジエの存在がWRCの物語をより素晴らしいものにしてくれると主張した。

 友人でありライバルでもあるタナクからの要望がありながらも、オジエは“年間7戦程度”とみられている当初の予定を変えない意思を示している。第3戦メキシコで優勝した後、39歳のフランス人は次のようにコメントを残した。

「僕は楽しむためにここにいるし、チームにできるだけ多くのポイントを与えるためにいる。それは変わらないよ」

 オジエは次戦クロアチアには出走するものの、続く第5戦ポルトガルではマニュファクチャラーズポイントの対象となる3台目のマシンをドライブしないことを指摘した。これは日本人ラリードライバーの勝田が、同ラウンドで今季2度目のワークスノミネートを受けてラリーに臨むことを意味している。

TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ(右)。左はオジエのコドライバーを務めるヴァンサン・ランデ
自身初の出場となったラリー・メキシコを総合23位で完走した勝田貴元(TOYOTA GAZOO Racing WRT/トヨタGRヤリス・ラリー1)

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