寄席支配人と“二刀流”の還暦アナ、就任の裏側に落語&神戸への愛「華やかにならないといけない」

今月1日に上方落語の定席「神戸新開地・喜楽館」の支配人に就任したABCテレビ・伊藤史隆アナウンサー(60)が12日、同所で、就任記者会見に出席。3月31日でABCテレビを定年退職し、4月1日からはシニアスタッフとして働く伊藤アナは就任の経緯や思いを明かし、「支配人とアナウンサーの“二刀流”で頑張ってみようかな」とフル回転の活躍を誓った。

2018年の開館から空席状態となっていた喜楽館の支配人職。そのオファーが伊藤アナのもとに届いたのは、昨年6月ごろ。以前から同館に足しげく通うほどの落語好き。その責任の重さは重々理解しており「僕にできるような仕事じゃない」と最初は断ったが、何度も熱烈なオファーを受け、熟考の日々が続いたという。

伊藤アナは神戸大学で落語を覚え、現在も神戸在住。決め手となったのは「神戸に寄席ができたのに、コロナ禍でなかなか集客が苦しくって。ここ(喜楽館)が華やかにならないといけないと思いますので」という落語と神戸への愛だった。上方落語協会の前会長・桂文枝(79)と現会長・笑福亭仁智(70)からも、就任にあたり「今までの常識にとらわれなくていい」と激励を受けた。伊藤アナは「(自分が支配人になることで)大きく弾まなくとも、何かしらの足し算になれば」と決意に満ちた表情で語った。

7月までは「見習い」扱いで業務に関わり、7月11日の同館開館5周年のタイミングで正式に支配人に就任予定。見習い期間といっても、昼席や特別公演の番組編成には、4月下旬から携わる予定で、「林家菊丸文化庁芸術祭大賞受賞記念ウィーク」(5月15~21日、同所)では、15~19日に記念口上の司会を担当するなど、フル回転の日々が待っている。

会見に同席した林家菊丸(48)は「噺家が口上の司会をやると、すぐにグダグダになる。そこは史隆さんにバシッと」と期待した。ちなみに20、21日の口上を欠席する理由について、伊藤アナは「野球中継の仕事が入っておりますので…」と説明。「海の向こうの方のように、支配人とアナウンサーの“二刀流”で頑張ってみようかな」とエンゼルス・大谷翔平選手(28)顔負けの大活躍を誓った。

(よろず~ニュース・藤丸 紘生)

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