〔海外〕2023年3月の災害を振り返る

2023年3月に発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●3月
【事故】ギリシャで列車同士が正面衝突
[被害]死者57人 負傷者85人
2023年2月28日深夜、ギリシャ中部のラリサ付近で旅客列車と貨物列車が正面衝突した。脱線し、直後に火災も発生。少なくとも57人が死亡、85人が負傷した。旅客車両は首都アテネから北部のテッサロニキに向かっており、約350人が乗車していた。
事故の原因は人為的なミスとして事故現場付近の駅の駅長が逮捕されたが、市民や鉄道職員の労働組合からは政権が長年安全面に対する整備を怠ってきたと批判する声が上がり、全国で政権や鉄道会社に対する抗議デモが行われた。ギリシャでは鉄道網の老朽化が問題となっており、安全性に関わる技術の導入も進んでいないという。

【自然災害】熱帯低気圧によりアフリカで大規模な被害 勢力維持過去最長の可能性も
[被害]死者570人以上
2023年2月6日、オーストラリアの北西の沖合いで発生した熱帯低気圧「フレディ」は、インド洋を西に横断し、2月下旬にはアフリカ大陸南東部に到達。21日にはマダガスカル、24日にはモザンビークに上陸した。その後、3月11日に2回目のモザンビーク上陸後、隣国のマラウイも襲った。熱帯低気圧による一連の大雨などで地域によっては6日間で6ヶ月分の降雨を観測。各地で土砂災害や洪水が相次ぎ、570人以上が死亡、被災者は50万人を超えた。WMO(世界気象機関)は、「フレディ」が熱帯低気圧として勢力を維持した期間が過去最長になった可能性があるとして、調査を行うと発表している。これまでの熱帯低気圧の最長期間記録は1994年に北アメリカで観測されたハリケーン「ジョン」の31日間。「フレディ」は定期的に熱帯低気圧の基準を下回る勢力になった可能性があることから、最長期間記録の確定には時間がかかる見込み。

【自然災害】アメリカ各地で竜巻被害相次ぐ
[被害]死者60人以上 負傷者数百人 停電90万軒以上
2023年3月下旬、アメリカでは南部や中西部を中心に竜巻の発生が相次ぎ、これまでに60人以上が死亡したほか、広い範囲で家屋損壊や停電などの被害が発生した。
3月24日夜、アメリカ南部で竜巻が相次いで発生し、少なくとも23人が死亡した。竜巻の報告はミシシッピ州とアラバマ州で20件以上あり、停電はテネシー州を含め最大で7万軒以上にのぼった。
3月31日から4月1日にかけて、アメリカ南部・中西部では広い範囲で荒天に見舞われ、竜巻が相次いで発生し、これまでに20人以上が死亡した。このうち、中西部イリノイ州では、200人以上がいたコンサート会場の屋根が崩落し、1人が死亡、約40人が負傷した。また、南部のテネシー州、アーカンソー州や中西部のインディアナ州でも竜巻が発生し、このうちアーカンソー州では5人が死亡、数百人が負傷した。停電は各州で一時90万軒以上で発生した。
例年、春のアメリカでは、メキシコ湾からの暖かく湿った空気とロッキー山脈からの冷たい空気が交わる中西部・南部で竜巻が発生しやすいが、今年はメキシコ湾の海面水温が記録的に高いことから、規模の大きい竜巻が発生したものとみられている。

© 株式会社レスキューナウ