茨城県 コロナ診療機関1.5倍に 5類移行でインフル同規模

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県は新型コロナウイルス感染症の「5類移行」に伴い、感染患者を診療する県内医療機関の数を1.5倍に増やす。大井川和彦知事が12日、明らかにした。これまで県が担ってきた入院調整は、病院間で実施する体制に移行し、季節性インフルエンザと同じ運用を目指す。県は21日までに移行計画を策定し、国に報告する。

定例記者会見で大井川知事は、内科、小児科、耳鼻咽喉科が県内に約1300カ所あると指摘。これら全ての医療機関で対応することを原則とする方針を説明し、コロナ患者もインフル患者と同等に対応できるよう協力を求める考えを示した。

県感染症対策課によると、コロナ患者に対応する「診療・検査医療機関」は、12日現在で829カ所。対象が約1300まで広がれば、約1.5倍となる。5月8日に感染症法上の位置付けが5類に移行し、全ての医療機関で感染者の診療が求められるため、県は県医師会と連携した研修会などを通して診療機関を拡充する。医療機関名は同日から、「外来対応医療機関」として県のホームページで公表する。

県や保健所が担ってきた入院調整は、5類移行に伴って病院間で行うこととする。感染者の発生届の提出が必要なくなり、県は感染者情報を把握しなくなるため、地域の診療所と病院が直接やりとりして入院を調整。行政が関わらない季節性インフルと同じ運用にする。

ただ、県内で感染者の入院を受け入れているのは、20床以上を備える174病院のうち59病院と、全体の3割ほどにとどまる。現状で入院を受け入れる医療機関が一部に限られることから、県は病院名や空き病床数などの情報を提供することで、病院間で入院調整しやすくなる仕組みを検討している。

酸素投与が必要な「中等症Ⅱ」や重症患者の入院について、大井川知事は「これまで確保病床を持つ(59の)入院受け入れ機関が中心となる」と説明。中等症を含む軽度の患者に対しては、「いろいろな医療機関が、一般病床も使うという前提で進めたい」と述べ、入院受け入れ病院を拡大させる考えを示した。

5類移行により、県による新規感染者数の公表は5月8日で終了する。新規感染者数や入院患者数に応じ、県内の感染状況を四つのステージに分けてきた県独自の判断指標「茨城版コロナNext」も、5類移行に伴って終了する。

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