G7保健相会合まで1カ月 長崎と五島で海外記者向けツアー 

展望台で協議会職員(中央)の説明を聞く各国記者ら=長崎市、稲佐山山頂

 5月13、14両日に長崎市で開く先進7カ国(G7)保健相会合まで1カ月。世界的な保健分野の課題について議論する重要な場であると同時に、長崎の歴史や文化の魅力、被爆地としての平和の願いを世界に発信する絶好の機会と位置付けられている。そのため会合に先駆け、10、11両日、在京海外メディア向けの取材ツアーが開かれた。

 ■参加

 官民でつくるG7長崎保健大臣会合推進協議会(会長・大石賢吾知事)が主催。会合の詳細なスケジュールは公表されておらず、「今回の取材場所に要人が行くとは決まっていない」(担当者)。G7の米国、フランス、ドイツ、イタリアのほか、韓国、ベトナム、トルコを加えた計7カ国の通信社や雑誌の記者9人が参加した。
 ツアーは一部だけ公開された。10日は長崎市の長崎大熱帯医学研究所や国指定史跡「出島和蘭商館跡」、長崎原爆資料館、会合開催場所の出島メッセ長崎-などを巡った。
 同協議会によると、記者団は各施設関係者らの説明に熱心に耳を傾け、ちゃんぽんやトルコライスなどを食べた。夜は稲佐山展望台から世界新三大夜景を撮影した。山頂の電波塔は会合開催時、複数の色でライトアップし会合出席者らを歓迎する予定。10日に試験点灯した。

 ■期待

 情報発信の場として関係者の期待も高まっている。長崎原爆資料館は「各国要人にぜひ訪れてほしい。(会合開催を)呼び水に世界の方々に被爆の実相に触れて、平和を考えるきっかけにしてもらえれば」と切望。出島運営管理事務所の高井良肇所長は「かつての出島が世界と結ぶ窓口として日本の発展に寄与したことを世界に伝えたい」と話す。
 記者団は11日、五島市に渡り、長崎大離島医療研究所やドローンを活用した配送の実証事業に取り組む豊田通商の子会社「そらいいな」(同市)などを取材。観光拠点「福江武家屋敷通りふるさと館」にも立ち寄った。同館内の「食事処 武家屋敷」の責任者、松本久美子さんは「かくれキリシタンの歴史などに興味を持ち、五島の味も喜んでもらえた。(各国で報道され)世界中から五島に来てほしい」と願った。

 ■多彩

 同協議会の松田武文事務局長は「(会合を機に)長崎大の感染症研究や長崎の多彩な魅力、平和への思いに触れてもらう。最先端の感染症対策を施した出島メッセ長崎も紹介し、MICE(コンベンション)都市としての魅力も世界に発信したい」としている。
 各国記者が今回取材した内容は早ければ1週間後、遅くても3カ月以内をめどに現地で報道される予定だという。

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