ローマからシチリアへ ノーベル文学賞作家の遺灰を運ぶトラブルだらけの旅 「遺灰は語る」予告

2023年6月23日より劇場公開される、昨年のベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した、「グッドモーニング・バビロン!」などで知られるタヴィアーニ兄弟の弟パウロ・タヴィアーニ監督作「遺灰は語る」の、予告編が公開された。

予告編では、作家ピランデッロの“遺灰”を運ぶ任命を受けたシチリア島特使の旅を中心に、人々が“遺灰”をめぐって右往左往するユーモラスな様子が、美しいモノクロ映像で描かれている。「ライフ・イズ・ビューティフル」でアカデミー賞の作曲賞を受賞した、作曲家ニコラ・ピオヴァーニが手がける音楽も聞くことができる。最後は、エピローグとなるピランデッロの遺作短編「釘」のカットも登場し、イギリスの映画雑誌「Screen Daily」による「ベルイマン、黒澤、ヴァルダ、オリヴェイラ…。その殿堂に仲間入りする重要な作品。」というコメントで締めくくられている。

「遺灰は語る」は、ノーベル文学賞作家の遺灰をローマからシチリアへ運ぶ、トラブルだらけの長い旅を描いた作品。1934年にノーベル文学賞を受賞したルイジ・ピランデッロは、死に際して「自身の灰は故郷シチリアに」と遺言を残す。しかし、時の独裁者ムッソリーニは、ピランデッロの名誉を利用するため、作家の遺灰をローマに留め置く。戦後、ようやくピランデッロの遺灰の入ったつぼが、シチリアへと帰還することになる。シチリア島の特使がその重要な務めを命じられるのだが、アメリカ軍の飛行機に搭乗拒否されたり、つぼがどこかへ消えたりと、次々とトラブルに見舞われる。

2018年に兄ヴィットリオが88歳で死去し、現在91歳の弟パオロが初めて1人で監督した作品。タヴィアーニらしい熱情とユーモア、美しいモノクロ映像と鮮烈なカラー映像を織り交ぜて描かれた波乱万丈の遺灰の旅は、イタリアの近現代史についても語る。映画の最後には、ピランデッロの遺作「釘」を映像化した短編が、エピローグとして登場する。

【作品情報】
遺灰は語る
2023年6月23日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給:ムヴィオラ
© Umberto Montiroli

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