トスト代表の“エンジニアを信用できない”発言後もチーム内の環境に変化なし「最高の雰囲気」とデ・フリース

 ニック・デ・フリースは、アルファタウリF1のチーム代表であるフランツ・トストがエンジニアたちの能力に疑問を投げかける歯に衣着せぬ発言を行った後も、チーム内の前向きな雰囲気は変わっていないと述べている。

 トストはシーズン開幕戦のバーレーンGPで、AT04の期待外れのパフォーマンスを目の当たりにした後、極めて異例なことにチームのエンジニアたちに対する信頼を失ったとジェッダで認めた。

「バーレーンでは苦戦した」と当時トストは語った。

「マシンを速くするために多くのことを行わなければならない。特に空力面でだ。さまざまなプログラムが進行中で、エンジニアたちは順調に進んでいると言っているが、私はもはや彼らを信用していない」

「冬の間に、彼らはマシンは素晴らしくなり、大きな進歩を遂げたと言っていた。そしてバーレーンに来たが、我々はどうしようもなかった。私は何を言うべきだろうか?」

2023年F1第2戦サウジアラビアGP金曜会見 フランツ・トスト代表(アルファタウリ)

 トストのコメントは、技術スタッフに対する皮肉を込めた警鐘と解釈された。しかしながらバーレーン以降、アルファタウリは前回のオーストラリアGPで角田裕毅が10位でフィニッシュして、1ポイントを獲得したのみだ。

 デ・フリースは、トストの発言はチームの仕事場の環境になんら影響を与えていないと明言した。

「正直なところ、チーム内部の雰囲気は最高だと思う。コメントがあった後も何も違いを感じなかった」とデ・フリースは語った。

「物事は文脈から少し外れた形で受け止められることがあると思う。僕たちは誰もが戸惑っているような感じで、今連勝して圧倒的優位にいるレッドブルのように速くなりたいと思っているんだ。だから進歩を遂げるために改善と懸命な作業を行っている。僕たちはレーサーであり、自分たちの仕事に情熱を注いでいる」

「でもチーム内の環境や雰囲気には何の変化も感じなかった。だから僕は自分がいるところにとても満足している。誰もが前にプッシュしていきたいと強く思っていると確信している」

 アルファタウリが「前にプッシュする」にあたって、チームは新しいフロアをオーストラリアで導入したが、デ・フリースは残念なことにレースの2回目のリスタート後に発生した1コーナーの混乱の巻き添えになってしまった。

2023年F1第3戦オーストラリアGP 2度目のリスタート後、ローガン・サージェント(ウイリアムズ)はターン1で止まりきれずニック・デ・フリース(アルファタウリ)に追突。2台ともグラベルでスタトップした

 さらなるアップグレードが予定されているが、デ・フリースはチームが漸進的な開発プロセスにしたがっていることを指摘した。

「僕たちが常に投入している小規模な変更は、ゲームチェンジャーになるわけではない。15位から8位になるわけではないが、こうした小さなことすべてが違いを生み出している」とデ・フリースはオーストラリアで語った。

「そして僕たちは常にさらに多くのことを探し出しては見つけている。そうすればトップ10に近づくだろう」

「もちろん僕たちは密接に協力している。僕たちはチームで、ともに仕事をし、改善の可能性のある境域に取り組んで強化している。パフォーマンスを引き出すために何が必要なのかは明確になっていると思う」

「でも同時に、標的は動いている。すべてが競争に関連しているから、これで十分ということは決してない」

2023年F1第3戦オーストラリアGP ニック・デ・フリース(アルファタウリ)

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