臼杵市の藤野さん「日本医師会赤ひげ大賞」に 地域の患者に長年寄り添う【大分県】

長年にわたり住民の健康管理に尽力したとして「赤ひげ大賞」を受賞した藤野孝雄院長=臼杵市役所

 【臼杵】地域の医療現場で住民の健康を支える医師を顕彰する「第11回日本医師会赤ひげ大賞」で、臼杵市二王座の藤野循環器科内科医院長の藤野孝雄さん(71)が大賞に選ばれた。少子高齢化が進む地域で患者に寄り添う医療を30年にわたって続け、糖尿病や認知症予防などにも力を注いできたことが評価された。県内医師の大賞受賞は2人目。

 藤野院長は1993年に同医院を継いだ。「地方でも患者にとって最適な医療を」と、患者の立場に立った医療を実践。週4日の訪問診療、ケアマネジャーや訪問看護ステーションなど他職種と連携した在宅医療にも取り組む。

 多くの患者を診る中で「糖尿病患者が増えている」と実感。地域のかかりつけ医に声をかけて勉強会を始め、2001年に「臼杵市糖尿病ネットワーク」を立ち上げた。基礎知識や、県糖尿病療養指導士資格が取得できる研修会を開く。

 保健所や市医師会などを巻き込み、早期受診につなげるシステムや重症化させないためのプログラムも構築。人工透析への移行抑制につながっているという。

 10年には市や大分大などと共同で「市の認知症を考える会」を設立した。代表世話人に就き、正しい知識を啓発する市民向け講演会開催などに尽力。「認知症への取り組みはまだまだ道半ば。偏見をなくし、正しい理解と予防の重要性を広めていきたい」と意気込む。

 藤野院長は「モットーの笑うことを大切にしながらできる限り長く診療を続け、地域医療に貢献していきたい」と話した。

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