アオリイカのゆりかごに 串本沖3カ所に産卵床、和歌山

海底にアオリイカの産卵床を設置するダイバー(和歌山県串本町沖で)=串本ダイビング事業組合提供

 和歌山県串本町内にある24のダイビング店でつくる「串本ダイビング事業組合」(谷口勝政組合長)は12日、同町沖にある3カ所のダイビングポイント(水深15~18メートル)の海底に、雑木で作ったアオリイカの産卵床を設置した。産卵は例年、5月初旬には見られるという。

 事業組合では、アオリイカの産卵場所となっている海藻が減ってきているため、その代わりとなる産卵場所をつくることでアオリイカを増やし串本でのダイビングも盛り上げたいと、公益財団法人「日本釣振興会」の協力で毎年、産卵床の設置に取り組んでいる。

 この日は、ダイバーら11人が雑木を積み込んで同町串本の袋港からボート2隻で出港し、潮岬沖約200メートルにあるダイビングポイントの「備前」と「グラスワールド」、同町有田の串本海中公園沖約100メートルにある「イスズミ礁」の海底に産卵床を設置。産卵床は高さ2メートルぐらいの雑木を10~15本ほど束ねたもので、ダイバーが沈めた土のうにロープでしっかりと固定した。

 組合イベント係の中井嘉昭さん(49)は「天気を心配していたが、順調に作業が終わった。卵を産みに来ている時は警戒心が薄くなって、ダイバーは割と近くで産卵を見ることができる。例年だと5月頭ぐらいから6月中旬ぐらいまで産卵を見ることができ、6月頭がピーク。先週潜った時に大きめのアオリイカが3、4匹で泳いでいるのを見かけたので、ひょっとしたら産卵が早く始まるかもしれない」と話している。

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