伝統手もみ製茶公開 都城・大石製茶園 全国品評会へ

手もみによる製茶作業を行う大石春樹さん(右)と朝寛さん

 都城市都原町の大石製茶園(大石朝治代表)は10日、手もみによる製茶作業を公開した。「一芯一葉」と呼ばれる新芽の上部だけを摘み取った茶葉約2.5キロを伝統製法で約500グラムの製品に加工し、夏に開かれる全国手もみ茶品評会に出品する。
 同園は技術向上や伝統製法の継承を目的に出品を続けており、全国約100戸がエントリーする同品評会では1等の受賞歴もある。製茶には、県総合農業試験場茶業支場が開発した品種「はると34」を有機栽培で育てたものを用いた。
 10日は午前6時から家族4人で5時間かけて手摘み。香りが残るよう、通常の半分である約20秒の「浅蒸し」を施した。5時間ほどかかる手もみ作業は、大石代表(69)、長男春樹(40)、三男朝寛(35)さんが交互に行った。焙炉(ほいろ)と呼ばれる平均40度ほどに温めた台の上でよくもまれた茶は黄緑から濃い緑色へ変化。形状は3~4センチの針状となり、辺りは茶の爽やかな香りに包まれた。春樹さんは「手もみらしいまろやかなうま味、甘味の茶ができた。きつい作業だが伝統を受け継いでいきたい」と話していた。

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