対話型AI活用検討始まる 栃木県内各大学 「実態未知」と慎重姿勢も

質問すると、自然な文章でAIが回答する対話型ソフト「チャットGPT」の画面=14日午後

 入力した質問に対して人工知能(AI)が即座に自然な文章を生成する対話型ソフト「チャットGPT」の活用を巡り、県内では宇都宮大と白鴎大が対応を検討していることが14日までに、下野新聞社の取材で分かった。文章作成の効率化が期待される一方で、リポートや論文での利用には盗作や思考力低下につながるとの指摘があるチャットGPT。「実態が分からない」などとして動向を注視する大学もある。(宇留野有貴(うるのあき))

 宇都宮大は、月内にも活用に関する周知を学内に行う方向で検討を始めた。白鴎大も議論を進める方針。 同大の飛田幸宏(とびたゆきひろ)経営学部長は「利便性が高くAI活用の方向性は経済や教育分野で進むだろう」とした上で「チャットGPTには誤った内容が含まれる可能性や著作権侵害の可能性もある。研究内での適正な使用について議論する必要がある」とした。同大は現時点で学生や教職員に使用を禁じていないが、新入生向けの情報系科目などで注意喚起している。

 動向を慎重に見極める大学もある。文星芸術大では教職員間で話題に上がっているといい、論文を重視している大学院での対策の必要性を挙げた。

 作新学院大と同女子短期大学部は「利活用の実態が分からないので、組織として軽々な判断は難しい」。西田直樹(にしだなおき)広報部長は「個人の考えとしては初めて世に出てきたため、摩擦を起こす部分が目立つ気がする」と受け止め「世の中とのすり合わせの中で形が変化することも考えられ、その過程で対応していく必要がある」と述べた。

 チャットGPTは、米新興企業のオープンAIが開発した自動応答ソフト。インターネット上の膨大なデータを学習して、利用者の求めに応じて文章を生成する。文部科学省は学校での取り扱いについて、本年度中に注意点や有効な活用法を示す方向で検討する。

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