またもやぶっつけ予選のModulo太田格之進「本当に良かった」見事3番手獲得。新コンビDeloitteのふたりも6番手に安堵

 岡山国際サーキットで行われている2023スーパーGT第1戦岡山。GT500クラスではミシュランタイヤを履くニッサンZの2台がフロントロウを独占する結果となったが、そこに喰らいつく3番手を獲得したのが、GT500デビュー戦となるModulo NSX-GTの太田格之進だ。

 今年はスーパーGTのGT500クラスに加えて、スーパーフォーミュラもデビューイヤーを迎えている太田。3月には大クラッシュを喫したこともあり、何かと話題となり、オートスポーツwebで取り上げる機会も何度かあった。

 今回は初めてのGT500予選アタック見事3番手タイムを獲得できた安堵感もあってか、取材のためICレコーダーの録音を始めると、太田はそのマイク部分に近づいて開口一番「オートスポーツwebさん、いつも書いてくれてありがとうございます!!」と、元気よくコメント。いつになく興奮気味の様子だった。

 ウエットコンディションは先月末の富士テストで経験しているが、雨の岡山国際サーキットをGT500車両で走るのは初めて。さらに午前中の公式練習が悪天候のため途中で終了となったこともあり、太田にとってはスーパーフォーミュラの開幕戦に続いて“ぶっつけ本番”の状況だったという。

「今日も練習走行でピットアウトして、ストレートを1本通ったら赤旗が出ちゃったので……ゆっくりと1周しか走れていないです」と太田。

「岡山でのウエットは初めてで訳が分からないなか、15分で慣れなければいけなかったのですけど、特に雨は難しかったです」とQ2のアタックを振り返った。

「(ブレーキで)ロックするし、飛び出すリスクもあるのですけど、15分しかないので、徐々に上げていく時間もない。めちゃくちゃ神経をすり減らしながら走って『ちょっと余ったから、次の周はもう少し行ってみよう。それでもどれくらいまで行けばいいんだろう?』みたいな感じで、ベストポジションを探っていました。でも、それをちょっとでも超えると岡山はすぐに(バリアに)刺さってしまうので……クルマと自分との駆け引きでした」

「これが練習走行でもう少し走れていれば、そんなことはなかったと思うのですけど、赤旗が出て全然走れなかったです。結果的に3番手で終わることができて、僕は良かったなと思います」

 予選中はアタックができる残り周回数を逐一チームに確認し、最後の1周は、まさに“渾身のアタック”という状況だった。

「タイヤが温まってきたタイミングで聞いたら、あと6周でした。でも、前に他のクルマもいるので、6周のうちでアタックができるのは2〜3周くらいで、最後は本当に『行くしかない!』みたいな感じでした。正直、もうちょっと行けたかなと思うところもあるし、ちょっと悔しいところもあります。でも、(3位だと聞いたときは)『良かったなぁ』と思いました。3番手は嬉しいです(GT500の)デビューレースで予選3番手は悪くないので、みんなの士気も上がるので、良かったです」

 太田は3月初旬に鈴鹿サーキットで行われたメーカーテストで大クラッシュを喫し、療養のため岡山国際サーキットでの公式テストでドライブすることはなかった。そんな状況下で、ひとつ結果を残すことができ、懸命にマシンを直してくれたチームに感謝していた。

「鈴鹿のメーカーテストでのクラッシュで怪我をして、いきなり出鼻を挫かれちゃう形になりました。チームも本当に頑張ってくれて、バラバラになったクルマを組み立ててくれて……本当にチームのおかげです。(予選後に)チームのみんなが『ありがとう』と言ってくれたのですけど、3番手という結果をプレゼントすることができて、本当に良かったです」

 Q1で3番手タイムを記録し、太田が担当するQ2へバトンをつないだ伊沢拓也はセッション前半はタイムが伸びず苦労していたように見えたが「前のBS(ブリヂストン)を履いているクルマに追いついたりして、自分のスペースが作れませんでした。最終ラップにうまく場所を作れたなという感じだったので、クリアラップが取れていれば、もうちょっと早い段階でタイムは出たのかなと思います」とのこと。

 今回がデビュー戦となる太田のアタックに関しては「初めての予選で、すごく緊張する場面だったと思うのですけど、この世界に入ってきてドキドキする場面に足を踏み入れたので、こういう経験をたくさん積んでいってもらえたらいいなと思いますし、その中でしっかりとまとめてくれたので、良い予選だったなと思います」と笑みを見せ、チームメイトの頑張りを喜んでいた。

■新コンビの37号車Deloitte TOM’S GR Supra、難コンディションでQ2進出。アレジ「もう少し上の順位が欲しかったけど、限界までいけた」

 ウエットコンディションのなかで大混戦となったGT500クラスの公式予選。今シーズン、Deloitte TOM’S GR Supraで新コンビを組むジュリアーノ・アレジと笹原右京は、それぞれが最大のパフォーマンスを発揮し、6番手につけた。

 TOM’Sに移籍して、初めてのGT500予選となった笹原はQ1を担当。特に緊張はしなかったそうだが「自分としては移籍しての初の予選だったので『うまくいってほしいな』という思いはありました」と気合いが入っていた。

 セッション中盤に1分30秒238を刻み、5番手でQ2進出。「Q1を通過して、チームから求められた仕事はこなせたと思うので、ひとまずほっとしています」と、笹原は安堵の表情を見せていた。

 続くQ2を担当したアレジは、トップタイムには及ばなかったものの、毎周にわたって自己ベストを更新していき、最終的に1分30秒772をマーク。トヨタ勢の最上位とはならなかったが、ブリヂストンタイヤを履くホンダ勢を上回る6番手につけた。

「アタックは限界まで行けたと感じています。もちろん、もっと(上のポジションを)ほしかったし、岡山ではトヨタがいつも速かったし、(Q1の)右京のポテンシャルを見た時に『トップ3までいける』と思っていました。ただ、コンディションも違ったし、Q1とQ2で別(のコンパウンド)のタイヤを使ったこともあって、思ったよりリザルトが少し下だけど、自分としては出来ることはやれたのかなと思います」と、まだまだ満足していない様子のアレジ。

「6番手は悪くない位置だし、明日のレースは色々と可能性はあると思うから、ポイントは獲りたいし、表彰台も狙えると思う。もっと良い順位がほしかったけど、今日のパッケージではあそこが限界かなと思います」と、決勝レースに向けて期待を寄せていた。

ホンダから移籍してきた笹原右京とジュリアーノ・アレジの新コンビで注目を集めるDeloitte TOM’S GR Supra
スーパーフォーミュラでも優勝を果たしたウエットコンディションでアレジが予選6番手を獲得

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