オオサンショウウオが奥日光に 茨城県の施設から移動 約30年ぶりに育った日光へ

オオサンショウウオの体長を計る関さん

 日光市中宮祠にある両生類の研究・公開施設「日本両棲(りょうせい)類研究所」(篠崎尚史(しのざきなおし)所長)は15日までに、先月閉館した茨城県常陸大宮市の市営水族館から国の特別天然記念物のオオサンショウウオ2匹を受け入れた。2匹はかつて日光市内の一般社団法人が所有していたとされ、約30年ぶりに故郷へ戻ってきた。同研究所の関慎太郎(せきしんたろう)展示飼育部長(50)は「オオサンショウウオの大きさや手のかわいらしさなどをぜひ間近で見てほしい」と話した。

 オオサンショウウオは、「日本一小さな水族館」として親しまれた山方淡水魚館から移ってきた。2匹は体長約130センチ、体重約29キロの「大好きくん」と体長約110センチ、体重約18キロの「山ちゃん」。

 同館を所管する常陸大宮市によると、1991年に日光市内の一般社団法人が所有していたオオサンショウウオ3匹を同館が譲り受けた。詳しい経緯は不明だが日光市内にはオオサンショウウオは生息しておらず、もともと岡山県にいた可能性があるという。3匹のうち1匹は2021年に死んだ。

 天然記念物の飼育や移動などは厳しいルールがあり、閉館に伴い両生類に詳しい同研究所に移ってきた。2匹は4月上旬までに2回に分けて引っ越した。

 大好きくんが到着した5日は、同研究所の職員たちが出迎え、篠崎所長と関さんらが大好きくんの体長や体重を計るなどした。関さんは「なかなか見ることができない大きさ。40年以上は生きているとみられる」と説明する。すでに一般公開しており、愛らしい姿を間近で観察できる。

 常陸大宮市の担当者は「環境が良い場所なので元気に長生きしてほしい。常陸大宮市との交流や地域振興などで活躍してもらえれば」と話した。

日本両棲類研究所に到着した2匹のオオサンショウウオ
大好きくんの体長を計る関さん

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