【足利】放映中のNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルとなった植物学者牧野富太郎(まきのとみたろう)(1862~1957年)が、研究の参考にした書物「翻刻植物学」とその版木の特別展示が、昌平町の史跡足利学校で行われている。5月7日まで。
「日本の植物学の父」と呼ばれた牧野は、1500超の新種や新品種を発見し、40万点もの植物標本を残した。刊行した「牧野日本植物図鑑」は現在も研究者や愛好家の必携の書となっている。
「翻刻植物学」は、イギリス人が書いた植物の解説書の漢訳本。全8巻。根や花、種子など植物全般について図入りで詳述している。現在の植物研究で使われている言葉の多くが、この本を参考にしているという。牧野は「日本植物学の糸口になったもの」と評価していた。
日本では幕末の1867年、足利藩校の「求道館」が刊行した。足利学校には、木版用の刷り板「版木」全55枚があり、市重要文化財に指定されている。幕末から明治期にかけて江戸で5代にわたって活躍した版木師木村嘉平(きむらかへい)によって彫られた。
今回の展示は、ドラマ放映に合わせて企画された。版木1枚と、それを使って1939年に印刷した同書3冊を紹介している。
学芸員の大澤伸啓(おおさわのぶひろ)さん(63)は「足利藩校では当時、植物学も学問の対象だったのだろう。展示から奥深さを感じ取ってもらえれば」としている。
展示場所は復元建物庫裏の展示室。入館には同学校参観料が必要。19日は休館。